臨場感の向上だけでなく、音楽再生も大きな魅力
HT-CT260のサウンドモードは、「スタンダード」「MOVIE」「GAME」「MUSIC」「P.AUDIO」「STEREO」の全6種類だ。
これらのうち、スタンダードは一般的なサラウンドモードだ。スポーツ番組などはこのモードで、十分な臨場感を得ることができる。これはソースが5.1chの場合に限らず、ステレオソースの場合も同様だ。先日行われたサッカーワールドカップ予選リーグの日本対イラク戦を、HT-CT260を接続して視聴してみたのだが、ソースはステレオだったにもかかわらず、なかなか高い臨場感を実現していた。
MOVIEとGAMEは、それぞれのソースに適したモードだ。MUSICとP.AUDIOは、どちらも音楽を再生するためのモードだ。音楽再生用のシステムとしての能力の高さは、HT-CT260の大きな魅力となっている。
一般家庭に普及しているオーディオシステムは、従来はミニコンポスタイルのものが多かったのだが、近年では、iPod/iPhoneなどを装着できるドックスピーカー、またはBluetoothスピーカーの比率が高まってきている。これは、光学メディアの利用率が下がっていることと無縁ではないだろう。スマートフォンに保存されたコンテンツをメインのソースとする場合、ドッグスピーカーやBluetoothスピーカーは、合理的な選択肢だ。
しかし、ドックスピーカーやBluetoothスピーカーの多くが採用するワンボックススタイルでは、左右のスピーカーの距離が取れないという問題がある。ステレオ再生という面からは、理想的だとは言い難い。HT-CT260の約940mmというフロントスピーカー幅は、この不満を解消するのに十分なものだ。また、フロントスピーカーのキャビネット容量の大きさや、余裕のあるサブウーファーも、自然なサウンドに寄与しているように思える。これはあくまでも筆者の印象なのだが、HT-CT260は、その辺のミニコンポよりも、ずっとまともに音楽を再生できるシステムだ。
ただし、フロントスピーカーの指向性は比較的強く、聴取位置によっては、音のバランスは変わってしまうことがある。これは形状に由来するものなのだろう。
MUSICモードとP.AUDIOモードの違いは、P.AUDIOモードでは、「ポータブルオーディオエンハンサー」が有効になり、高域成分などが補間されるという点だ。スマートフォンなどから可逆圧縮形式の音楽ファイルを再生する場合には、こちらを利用したほうが、より自然なサウンドとなる。
でかくて手軽に使えるシステム
確かに、HT-CT260は、サイズ自体は大きい。大きいということは、スピーカーにとっては設置性以外では決してマイナスの要素ではない。しかし、HT-CT260のフロントスピーカーは、テレビの前という、普段は使わないスペースに設置される。大きいが決して邪魔にはならないのだ。また、フロントスピーカーにはIRリピーターが装備されており、HT-CT260の設置によりテレビのリモコン受光部が塞がれてしまっても、操作には支障がない。ワイヤレスサブウーファーも、設置場所をそれほど選ばない。いったん設置してしまえば、このサイズを邪魔に感じるということは少ないだろう。
サラウンドシステム+スマートフォンを中心とした音楽再生システムとして見た場合、バースピーカーとワイヤレスサブウーファーを組み合わせたHT-CT260は、いわば、"でかくて手軽なシステム"としてうまくまとめられている。スマートフォンから、Bluetoothスピーカーと同じ感覚で使用することができるという点は、手軽さという面で、大きなポイントだろう。