バータイプのスピーカーを核とする2.1chのフロントサラウンドシステムは、手軽に設置できて、テレビの臨場感をアップできるアイテムとして人気を博している。今回紹介するソニーの「HT-CT260」も、同社独自の「S-Force PRO フロントサラウンド」を採用する2.1chのバーチャルサラウンドシステムだ。

バースピーカーとワイヤレスサブウーファーを組み合わせた2.1chのフロントサラウンドシステム「HT-CT260」

「HT-CT260」発表時のニュース記事はこちら
■ソニー、スマートフォンをワイヤレス接続できるバータイプスピーカー

ワイヤレスサブウーファーを装備したフロントサラウンドというスタイル

フロントスピーカーは六角柱形のバータイプだ。この形は、スピーカーの向きを変えるための工夫で、付属のスタンドを使用した場合には、スピーカーの開口部は前面に向き、スピーカーをラックの上などに直に置いた場合には、開口部は斜め上に向く。使用されているユニットは55×80mmのフルレンジだ。

フロントスピーカーは六角柱のバータイプ

設置方法によって向きを変えられる

フロントスピーカーのサイズは約W940×D97×H89mmで、これは40V型の液晶テレビの横幅に近い。ラックシアターなどのように厳密にサイズ設定があるわけではないが、32V型~46V型程度のテレビと組み合わせた際に、デザイン的にはマッチするだろう。サブウーファーのサイズは約W271×D271×H390mmで、以前にレビューを行った「HT-FS3」のW212×D364×H374に比べると、かなりどっしりとしており、ウーファーユニットは底面に下向きで配置されている(HT-FS3のレビュー記事はこちら)。

フロントサラウンドを採用する多くの製品は、アンプ内蔵のサブウーファーと、パッシブタイプのフロントスピーカーを組み合わせたシステムとなっている。そういったシステムでは、入出力端子は、サブウーファー側に装備されるケースが多い。しかし、このことが設置時に制限を生むケースも少なくない。サブウーファーは本来、中高域用のフロントスピーカーに比べると指向性が弱く、ラックの下などの邪魔にならない場所に設置することが可能だ。

しかし、そういった場所は、頻繁にアクセスするのには不向きでもある。つまり、"配線"という問題が、この利便さをスポイルしてしまうのだ。また、スマートフォンやポータブルプレーヤーなどの再生機器を接続する際の利便性という点でもネックになりやすい。

HT-CT260は、2.1chのシステムでありながら、サブウーファーはワイヤレス接続だ。電源さえ確保できれば、設置場所にそれほどこだわる必要はない。入出力端子は、フロントスピーカー側にのみ装備されている。フロントスピーカーは、テレビの周りなど比較的アクセスしやすい場所に設置されるため、テレビのサラウンドシステムとしてだけでなく、さまざまなデバイスの音声再生用としても、利用しやすい。

既存の環境にそのまま持ち込める、手軽なシステム

装備している端子は、光デジタル音声入力、同軸デジタル音声入力、アナログ音声入力(3.5mmステレオミニジャック)だ。これに加えて、Bluetoothによるワイヤレス接続も可能だ。

フロントスピーカーの背面にある入力端子

入力端子の横には蓋があり、そこを開けると、無線関係のユニットと思われるものが取り付けられている

HT-CT260はフロントサラウンドのシステムであり、セッティングにめんどうな点は少ない。基本的な接続としては、テレビのデジタル音声出力(たいていの場合は光デジタル端子だ)から、HT-CT260の光デジタル音声入力端子に接続するスタイルになる。BDレコーダーなどの映像機器は、テレビのHDMI入力端子に接続して利用するわけだ。

テレビの音声出力端子と、光デジタルケーブルで接続するのが標準的なスタイル

AVアンプを使用するシステムでは、AVアンプ側のHDMI入力端子に映像機器を接続するのだが、HT-CT260にはHDMI端子は装備されておらず、接続するのはあくまでもオーディオケーブルのみだ。割り切ったスタイルなのだが、それまで使用していた機器との接続や操作体系をほとんど変更せずに、サラウンド環境を構築できるというのはメリットだろう。

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