iPhone 4ではできないこと

Safariだけで判断することは危険だが、「メール」や「カレンダー」など他の利用頻度が高いアプリはシステムへの負荷が低く、iPhone 4だからといって操作性に影響するほど速度差が生じるとは思えない。iOS 6ではGUIに大きな変更はなく、システム全体のパフォーマンスもiOS 5.1.1のときと大差ないことからすると、iOS 5のとき(快適に)使えていたアプリはストレスなく使える、と言っていいだろう。これは、iOS 6発売前に発売されていたゲームアプリについてもいえる(審査を経ているのだから動作の可/不可はApp Storeに掲載されているとおりだ)。

一方、確実にiPhone 4ではできないこともある。たとえば、画面をほぼリアルタイムにApple TVへ出力する「AirPlayミラーリング」は、iPhone 4SとiPhone 5、および新しいiPadと第5世代iPod touchでなければ利用できない。iOSで一新された「マップ」の新機能「Flyover」も、iPhone 4S以降の機種限定だ。

と、できる/できないの材料だけで判断すると、そろそろiPhone 4の現役引退を考えるべきか……と悩む人もいそうだが、それは気が早いように思える。iPhone 4には「VXD 735」というGPU(Power VR)のビデオデコード用IPコアが搭載されており、H.264/AVCのビデオを低負荷で再生できる。フルHDではなく720pだが、大型テレビでの鑑賞に耐えるクオリティだ。

それに、iPhone 3GSとiPod touch(第4世代)では対応しないSafariの新機能「オフラインのリーディングリスト」は、iPhone 4ならば利用できる。前々代のモデルなだけに目新しい機能のいくつかは利用できないが、そこに目をつぶることができれば、あと1年はともに暮らすことができるのではないだろうか。iPhone 5を我慢できれば、の話だが……

iPhone 4には、「VXD 735」というPower VRのビデオデコード用IPコアが搭載されているため、撮影したムービーを低負荷で再生できる

新しい『マップ』の目玉機能のひとつ「Flyover」は、iPhone 4S以降でなければ表示できない。iPhone 4ではFlyoverのボタンが現れないのだ

■表2:歴代iOSデバイスの機能比較

iPhone iPad iPod touch
3GS 4 4S 5 2 第3世代 第4世代 第5世代
AirPlayミラーリング × × ×
Siri × × × ×
マップ ルート案内 × × × ×
マップ Flyover × × ×
パノラマ写真 × × × × ×
オフラインのリーディングリスト × ×
FaceTime(携帯電話回線) × × × × ×