かねてからのIntelのIvy Bridgeの登場に加え、この夏にはNVIDIAの新世代GPUラインナップも出揃うなど、今年はPCのゲーミング環境が大きく進化した年であった。まさにこの時期にPC環境の一新を検討しているゲームユーザーも多いだろう。
ところで、PC一式を新調するコストとして、10万円という価格帯はバランスがいい。トップ性能のプレミア価格ではなく、低性能でそれなりの価格という価格でもない。ちょうどコストパフォーマンスが良い価格帯になるのだ。では、実際に今使っているゲーミングPCを、最新のモデルに買い換えるとどのくらいのメリットがあるのか。一般的にPCの買い替えサイクルとして妥当と言われる3年間を目安に、3年前の10万円PCと、最新の10万円PCで、どれほどの違いになるのかを実験してみることにした。
最新ゲーミングと3年前ゲーミング、実機環境を用意する
テストに用いる実機には、最新の10万円ゲーミングパソコンの代表として、BTO PCメーカーのマウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」の最新モデル、「NEXTGEAR i620SA5-SP」(製品記事はこちら)を用意した。同社の製品は、最新PC技術の採用がかなり早く、かつ構成の自由度が高いBTO方式で迅速に市場投入しており、得られる性能に対しての必要コストも自作PC並みにソリッドである、という利点がある。これであれば、最新の性能を、かかるコストにノイズの無い状態で比較しやすい。
NEXTGEAR i620SA5-SPは、G-Tuneのフラグシップシリーズである「MASTERPIECE」の設計思想を受け継いだ新設計を、最近新たに採用したATXゲーミングデスクトップで、今回のテストでも利用するBTO基本構成時の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-3770K(3.40GHz/Turbo時3.90GHz)、チップセットがIntel Z77 Express、メモリがPC3-12800 16GB(4GB×4/最大32GB)、ストレージが1TB SATA6Gbps HDD、光学ドライブがDVDスーパーマルチ、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 660 Ti 2GB、電源容量が700W、OSがWindows 7 Home Premium SP1 64bitというもの。この構成での直販価格は109,830円だ。
給排気では、基本的にはフロント吸気のリア排気のストレートなエアフローになる。フロントベゼルのサイドやボトム、センターあたりにも吸気システムがあり、フロントのオープンベイ下のメッシュパネル部分から大量のフレッシュエアーを取り込み、強力に冷却できる構造だ |
内部の様子。電源ユニットが下置きなのは、内部パーツで熱せられた空気を電源が吸い込んでしまい、電源に悪影響を及ぼすことを防ぐため。また電源ユニット自体、交換効率にすぐれる80PLUS GOLD認証のものを標準搭載している |
比較する過去の10万円ゲーミングPCだが、同マウスコンピューターが2009年の3月に発売した「LITTLEGEAR i700GB1」(製品記事はこちら)をターゲットにしたい。当時のG-Tune最新モデルで、NVIDIAの最新GPUを搭載するコスト性能比に優れたゲーミングPCだ。主な仕様は、CPUがCore i7-860、チップセットがIntel P55 Express、メモリがDDR3 4GB(2GB×2)、ストレージが1TB SATA3Gbps HDD、光学ドライブがDVDスーパーマルチ、グラフィックスがGeForce 9800 GT、OSがWindows 7 Home Premium 32bitで、直販価格は99,750円。
しかしながら、3年前の製品をそのまま入手はできなかったので、今回は上記のi700GB1に近い構成のPCシステムを主要パーツのみで組み上げ、擬似LITTLEGEAR i700GB1なゲーミングPC環境を用意することにした。構成は、CPUがCore i7-870、チップセットがIntel P55 Express、メモリがDDR3 4GB(2GB×2)、ストレージが1TB SATA3Gbps HDD、グラフィックスがGeForce 9800 GT、OSがWindows 7 Home Premium SP1 64bitだ。CPUがi700GB1よりひとつ上位なので、ちょうどNEXTGEAR i620SA5-SPと同等の価格構成になっているだろう。