さて、Android端末最大の特徴と魅力といえば、「さまざまなアプリが使える」こと。それは、COOLPIX S800cも同様。対応機種が限られているアプリもあるので、Androidスマートフォン同様とはいかないが、多くのAndroid対応アプリをGoogle Play Storeからダウンロードして利用できる。つい夢中になってバッテリーを早く消費してしまうのでオススメはしないが、ゲームだってプレイできるし、さまざまなカメラアプリをインストールして使うこともできる。前述のようにカメラ部の性能がいいので(というか、そもそもカメラなので)、カメラアプリはむしろ積極的に試したくなる。Youtubeの動画再生も実に滑らかだ。

Web閲覧も無問題

Youtubeの動画も滑らかに再生

なお、内蔵メモリー中のアプリ領域は約680MB(※2)と決して多くはない。大容量のSDHCカードを入れて、できるだけそちらへ逃がしてやるのが得策だろう。ちなみにSDXCカードには対応していない。

※2 使用地域によって異なる。

ところで、操作しているうちに気付いたことがひとつある。COOLPIX S800cは、動画撮影・再生のためにステレオマイクとスピーカーを装備している。ということは、Skypeを使えば通話もできるのではないか?さっそくインストールして試してみた。結論は「十分にできる」。

ステレオマイクはカメラ正面に、スピーカーは底部にあるため、単体では少々使いにくいかとも思ったが、そのスピーカーを耳の位置に当てるようにして話すと、かなり快適に話せるのだ。ステレオマイクの集音性能が良いのだろう。ちなみに、スピーカーの音質も過剰と言えるほど良好だ。ただ、スマートフォンならともかく、COOLPIX S800cのルックスは、誰がどう見てもカメラである。これを耳に当てて話をしているその姿は、周囲の人から相当な奇異の目で見られることだろう。

ゲームだってこのとおり。モニターの発色が派手目なので、カラフルなゲームは見栄えがする

「なめこ栽培キット Deluxe」は、やや動作がぎこちなかった

それならば……とBluetooth用のヘッドセットをペアリングしてみた。だが、筆者の手持ちの製品(2年前に購入)では通話中に音声が途切れてしまい、実用レベルの結果は得られなかった。最新の製品であれば、あるいは違った結果が出るかもしれない。なお、Bluetoothの規格はVer.2.1+EDR、A2DPのプロファイルに対応している。

相手の顔を見ながらのビデオ通話はできないが「カメラで通話ができる」という事実には、やはり感じ入るものがある。「ドラえもん」に、ふたつのものをひとつにしてしまう「ウルトラミキサー」なる秘密道具があるが、あれを思い出すのだ。未来的で、実際に便利でありながら、ちょっぴりナンセンス。なんだかくすぐったいような、あの感覚。

Skypeの音声通話しっかり使えるのには驚いた。ただ、なまじマイクの集音性能が高いので、雑踏の中では使いにくいかもしれない

さて、まとめよう。COOLPIX S800cの動作は、カメラとしてもAndroid端末としても機敏であり、非常にストレスが少ない。また、標準としてプレインストールされているカメラアプリの使い勝手も、よく考えられていると思う。かつてWi-Fiを搭載し、写真を直接ネットワーク上のサービスやストレージにアップロードできるコンパクトカメラはいくつか発売されたが、さして話題になることなく消えていった。それは、あくまで「アップロード機能を付加したカメラ」に過ぎなかったからだ。

しかし、COOLPIX S800cには、それらと一線を画した「ビジュアルクオリティを向上させるたコミュニケーションツール」としての志がある。SNSへ写真を直接投稿、閲覧、返信といったやりとり、さらに豊富でユニークなカメラアプリを探してフォロワーに差を付ける、そんなスマートフォンならではの要素を楽しむ一方で、極小のセンサーとレンズ、光学ズームなしという貧弱なカメラ機能に日頃から不満を抱いていたユーザーは、決して少なくないだろう。COOLPIX S800cは、そんな美意識と表現の可能性を求める人々にとって、大きな福音となるはずだ。

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