同店は、元々サラリーマンだった平島さんと尾坂亮さんが共同経営で始めた店である。学生時代より独立志向の高かった平島さんは、ベンチャー系の企業も受けたもののまずは大手で力をつけようと大手信販会社に就職。マーケティングを担当し、4年間経験を積んだ後、「気の合う仲間と一緒に自分たちで会社を創り、大きくしていきたい」という思いがつのり、退職する。そして同じく大企業に勤め、大学生時代からの仲間だった尾坂さんとの共同経営の形で、1号店となるバー「0番酒場」を2010年2月に東京・中野区でオープンさせた。
屋台より安くで開業
開業資金が乏しかったことから、最初は「屋台からでも」と考えていたが、それでも200万円程はかかってしまう。そこで安い物件を探して不動産巡りを始めたところ、借り手がつかない状態になっていた格安物件に巡りあった。裏通りで半地下、以前の店も短期間で撤退したという曰く付きの物件ながら、礼金1カ月、手数料1カ月のみの居抜き状態。すぐに契約を決め、50万円で開業することができたという。立地の悪さをマンパワーでカバーすべく、オーナー2人のうちどちらかが店に必ず入り、お客さんとのコミュニティーを作っていった。それが功を奏し、0番酒場は悪立地ながら大繁盛。そして同店の名物メニューだったマグロをクローズアップし、2号店となるマグロづくしの城ケ島マグロマートを2011年4月オープンさせたわけだ。
1号店同様、飲食店が何度も撤退した後の居抜き物件で、人通りはほとんどない。しかし敷金1カ月、礼金1カ月のみで、造作費を含め50万円で開業できた。しかも、1号店からも近い点もポイントが高かった。この2店舗目より、3人目となる吹越雅樹さんも社員として入社し、さらにマンパワーがアップ。そして特徴ある店づくりで口コミを広げ、再度繁盛を掴んだのである。
その後も、2011年11月に丼と全国のおいしいつまみを揃えた「丼とアホウドリ」(2012年7月、日本中のおいしいおつまみのセレクトショップ「美味しいを追いかけろ!! 」にリニューアル)、2012年3月には、0番酒場をリニューアルして女性をターゲットにした「マグロバール」を開業する等、斬新なコンセプトで店舗展開を進めている。
「学生時代から直接ベンチャーに進んでいたら、見るゴールは変わったと思う。料理人出身ではないからこそ、自由な発想でメニューを開発できる。また前職での経験があったから、グループ全体における一軒の立ち位置といったことを考えることもできます」と平島さん。業種をがらりと変えた転職の経験が、より高い目標へ向かう糧になっているようだ。