メーカーがロボット掃除機と呼ばずに、ロボット家電と銘打った理由にもなっている、音声認識によるコミュニケーション機能。これについては、懐かしのソニー「AIBO(アイボ)」をちょっと彷彿させる。あらかじめプログラムされている言葉で呼びかけると、掃除機が返事をしたり、動きで返してくれるというものだ。「きれいにして」と呼び掛けると、「わかった!」と答えて掃除を開始してくれるなど、音声認識によるコマンド入力機能としても使える。
iOSとAndoroidで動作するスマホ用アプリ「COCOROBO SQUARE」をインストールしたiPhone。まずはじめに屋内で使用する場合の"おうちモード"か、屋外で使用する場合の"おそとモード"を選択する |
アプリのメイン画面。本体に装備された温度センサーで測った室温も表示する |
ただし、掃除機として稼働している最中は、音声認識が行われない。掃除機自体の騒音で音声が打ち消されてしまうので当然といえば当然だが、一番使いたいのは稼働中に音声で遠隔操作できるというのが本音。リモコンによる遠隔操作はできるが、この点が何とかなればもっと便利に使えるのに……という気がしてならない。
面白いのは、掃除機にも"テンション"があり、音声認識による反応が一様ではないということ。「ココロエンジン」という人工知能を備え、充電量や部屋の温度などの状況により反応を返すので、同じ指示に対しても異なるリアクションを楽しめる。性格も「上機嫌」「不機嫌」「普通」と3種類に設定でき、時に従順であったり、反抗的であったりと、その気まぐれさ加減にだんだんと愛着が湧いてしまうのだ。
「おさんぽ」モードの画面。スマホをリモコンのように無線LAN経由で遠隔操作に利用できるモードで、各種コントロールが手元でできる |
おさんぽモードのマニュアルモードでCOCOROBOを遠隔操作した様子。COCOROBOのカメラが捉えた映像をスマホの画面で確認しながら、ラジコンのように操作できる |
言語も日本語のほか、英語、中国語に加えて、関西弁まで設定できるのがユニーク。掃除機としての稼働中も、壁に衝突すると「イテテ……」と独り言を発するのも何となくかわいくて微笑ましい。最近、ユーザーの間でロボット掃除機を擬人化する傾向があるが、本製品はまさにその先端をいく商品と言っていいだろう。
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また、本製品の特筆すべき特徴は、カメラと無線LANを備えた点だ。本体前面に130万画素のカメラを搭載し、専用アプリをインストールしたスマートフォンやiPhoneから無線LANを経由して遠隔操作をしたり、カメラが捉えた写真を送信したりできる。インターネット経由で外出先から室内の写真を確認することも可能。ユーザーとしては、外出先から本体を遠隔操作できるのが理想だが、安全上の理由で現状は遠隔操作は室内での利用時のみに限定しているとのことだ。
リモコン。本体の動作モードを指定して動作させたり、矢印ボタンで任意の場所に本体を遠隔操作できる |
本体側面には、USBスロットを装備している。無線LANの設定やアップデートなどでUSBキーを介してデータを転送するのに使われる |
本製品を総合的に判断すると、吸引力と精度に関しては、同じ場所を何回も往復し、ゴミやホコリを捕集する性能の高さをウリにするルンバに軍配が上がるかもしれない。ただし、メンテナンス性や静音性といった点から言うと、国産メーカーならではの気配りと日本の家屋事情に配慮した製品と評価できる。そして、何よりコミュニケーション機能という愛玩具的な遊び心を備え、さらにカメラやスマートフォンとの連携という白物家電の新たな付加価値を見出した点が新しい。掃除機として以外の他の機能もさまざまに楽しみたいのであれば、相応に価値のある商品と言って良いだろう。