デザインをブラッシュアップ
―― モック版にも本体ケースがあるんですね。この時点でかなり印象的ですが、実際のデザインはどのような段階を経て完成したのですか?
村田氏「製品化が決まったとはいえ、機能面などで本当に大丈夫かな?? という心配はあったんです。そこでカメラチームの人たちにアドバイスをもらいつつ、一般の方から有識者の方まで、幅広い女性にアンケートを採りました。そこで得た意見を元に、好評だったコンセプトの部分は残し、足りない機能を補足する形で新たなデザインにまとめていきました」
―― アンケートは国内外で? また、目に付いた回答ってありますか。
村田氏「アンケートは日本やアジアなど数カ国で行い、グローバルに通用するかどうかの確認もして、調査にはかなり時間をかけました。
回答としては、すごくかわいいのに値段の割に安く見えてしまうという意見が結構あって…。アクセサリーやキーホルダーとしてのキーワードが軽く見えるとか、トイカメラ寄りに見えるとか。一番多かった要望が『ズームが欲しい』でした。カメラのデザインには、やはり信頼性が大事なんだとしみじみ思いました。ただ、『かわいい』という意見は万国共通だったので、自信がつきました」
―― 具体的にはどんな方向に変えていったのでしょう。
村田氏「沈胴式ズームレンズへの変更と、本体サイズによる持ちにくさなどを解消する調整をしました。単焦点レンズの代わりに沈胴式ズームレンズを入れたんですが、そこが大きなデザインの切り口にもなった気がします。EX-JE10に関しては、モックでも一番人気だった革ケースの要素を融合させることで、デザインコンセプトの核ができたんです」
―― 本体の「陶器のような」という質感もポイントですよね。
村田氏「はい。アルミがむき出しにならないようにして、陶器のぽってりした感触や雰囲気を出しています。また、レンズ周りのゴールドリングなど、アクセサリーっぽい質感も加えることで、女性的な印象にまとまったと思います」
前田氏「トップ(上面)にはさまれた透明プレートもかわいいと思いません? 普通ならアルミのラインですが、このおかげで新鮮さとかわいさの両方があるんですよ」
村田氏「厚みのある透明感は、化粧品のボトルやガラスの器を参考にしました。女性的なかわいらしさのある素材を想像しつつ、かわいいものの要素をデザインに反映してみたんです」
―― レザー風のカバーが同梱というのも珍しいですよね。
村田氏「これはカバーあってのデザインであり、かわいらしさなので、やはり同梱にしようという話になりました」
―― せっかくなので、ぜひ限定ケースとかも出してほしいです。
前田氏「そうですね。いろいろな場で着せ替えカバーのお話がよく出るんですよ。今後の検討課題だと思っています。女性ってカメラや携帯を何かワンポイント、自分ならではのアイテムを付けて楽しんでいらっしゃるので、そんな感覚でも楽しんでいただけたらと思います」
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