古くからのMacユーザにとって「LaCie」は、端麗なデザインの外付けHDDをすぐに連想するほど馴染み深い存在。そのLaCieブランドから、手ごろな価格のNASが発売される。青いLEDランプなど独特のフォルムにファンレス構造で、メディアサーバやリモートアクセスサーバとしても使えるなど、サービス面も充実している。今回、そんな新製品「LaCie d2 Network 2」を試用する機会に恵まれたので、早速レビューをお届けしよう。
アルミ外装のヒートシンク構造でファンレスに
LaCie d2 Network 2は、フランスのPC周辺機器メーカーLaCie社によるネットワーク接続型HDD。いわゆる「NAS」(Network Attached Storage)に分類される製品であり、ファイルサーバといったNASで一般的な機能のほか、外出先からのリモートアクセスやDLNAサーバ機能(DMS:Digital Media Server)にも対応するなど、充実の機能を備える。
その主要スペックを見てみよう。HDD容量は2TB×1、データ転送速度は最大68MB/秒。インタフェースはEthernet(10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T)×1、USB 2.0(Type B)×1、eSATA×1。大きさはW60×D167×H183mm/重量1.7kg、同梱のACアダプターで動作する。対応するOSはWindows XP / Vista / 7、およびMac OS X 10.5以降だ。
他のNASにあまり見られない特徴としては、ファンレス構造の採用が挙げられる。表面積が広いヒートシンク構造アルミボディによる高い放熱性の実現により、ファンの回転音に悩まされることなく利用できる。LaCie社の製品らしく、独特の造形美を感じさせるデザインも印象的だ。
多くのLaCie製品に共通の青いLEDランプ |
フロントパネルには梨地調の加工が施され、ケースを兼ねたヒートシンク構造とのデザイン上のアクセントとなっている |
稼働開始から3時間を経過した本体側面の温度を測定したところ、約38度をキープ(室温25度)。ヒートシンクの効果は大きい |
Macユーザに優しいNAS。ユーザインタフェースもわかりやすい
LaCieのブランドは、特にMacユーザでの認知度が高い。かつてHDDなど周辺機器を接続するためのインタフェースとして利用されていたSCSIは、MacではD-sub25ピンなど一般的でない接続形態だったこともあり、PC/AT機向けにデザインされた製品では扱いにくかった。しかし、敢えてMacにターゲットしたLaCie社のSCSI製品は、当時のMacユーザの支持を集めた。
その伝統はSeagate社に買収された今も健在で、本製品のNAS機能の多くはMacユーザにコミットしたものだ。例えば、OS標準のバックアップ機能「Time Machine」に対応し、データの保存先として利用可能。Bonjour互換のゼロ・コンフィギュレーション技術(同一ネットワーク上の機器を自動で検出して接続する技術)も採用、「XXXX.local」という短いアドレスで接続できる。OS Xネイティブのファイル共有プロトコル「AFP」もサポートされているので、ユーザアカウントの管理も簡単に行える(SMB:Server Message Blockでサービスする場合には、アカウントごとにパスワードの入力が必要)。
管理用インタフェースはWebブラウザからの操作に対応するもので、それを支えるOSとして本体内に「LaCie NAS OS」が搭載されている。各種言語に対応したわかりやすいUIを備えるほか、SMBやAFP、ディスククォータ(共有用PCなどで各ユーザーに割り当てた最大使用容量)などNASとして求められるベーシックなファイルサーバ機能を備え、上位モデルではRAIDやActive Directoryといった上級機能も提供する。
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