表示部と操作部。中央下のボタンでお米の種類を選んだ後、コースを設定するほか、「そくうま」、「ふっくら古米」はワンタッチのボタンが左上に用意されている

炊飯コースは、白米、玄米、発芽玄米、雑穀枚の4つの米種別にそれぞれ炊き方のコースが設けられている。白米コースの場合は、食感で選ぶ「しゃっきり」、「ふつう」、「やわらか」、「もちもち」のほか、時間をかけて米の美味しさを引き出す「かまど名人」、古米や硬質米の吸水を促進させて炊く「ふっくら古米」、「おこげ」、「炊込み」、「炊込み・おこげ」、「おかゆ」、約28分、約19分でそれぞれ炊き上げる「そくうま」、「早炊き」、蒸気の発生を抑える「蒸気セーブ」、消費電力を抑えて炊く「ecoモード」と、炊飯だけでも至れり尽くせりで好みや食事の内容に合わせてバラエティー豊かに炊き分けられるのがうれしい。逆に調理メニューは、「パン発酵」、「パン・ケーキ」、「温泉卵」、「蒸し」の4つのみと機能を絞り込んだ印象だ。

家庭用品品質表示法に基づく年間消費電力量は124.6kWh、1回あたりの炊飯時消費電力は227.3Wh、1時間あたりの保温時消費電力量は18.1Whと、真空ポンプ機能のためなのか、全体的にちょっと高め。

サイズは、幅29.7cm、奥行38.7cm、高さ26.5cm、重量は約8.6kgと意外と大きいのだが、本体のデザインが凸凹がなくスッキリ収まっているせいか、パッと見はそれほど大きくは感じない。内釜の重量(実測値)は1,061gと標準的だ。

炊き上がり直後のごはんの状態。お米の色が白くて艶やか

「ふつう」コースで炊飯。お米の形がはっきりした粒感のあるごはん。粘り気が控えめなので、すしめしのような食感と味わいだった

保温24時間の状態。潤いとツヤが保たれ、サラッとしていた感じがお茶漬けに合いそう

実際にふつうコースで炊飯し、実食した印象はお米が潤いがありながらもサラッとしていて粒感がある。炊き上がったお米の色も心なしか白いと感じた。パラっとあっさりとした食感と味が好みの人向けで、すしめしや炒飯に合いそうだ。とはいえ、白米の食感だけで4種類に炊き分けができるので、どんなニーズにも応えてくれるだろう。

保温後の状態もお米の瑞々しさやツヤが残っている印象。他機種に比べて変色も少ないように感じた。

全体を通した雑感は、独特な形状の内釜や真空ポンプという独自性のある機能を内田氏ながらも、保温、炊飯メニューも充実していて優等生的存在。オールマイティーさを求める人にオススメしたい機種だ。

「かまど名人」で炊飯。ふつうコースよりもふっくらとした食感で、口の中でお米の風味が広がる気がした

玄米。吸水なしでもしっかり芯が残らず柔らかいごはんに。玄米の少し硬さが残った食感が好きな人は水を少な目にして炊くぐらいがベストだ

付属の密封パックとアタッチメントで、お米を真空パック保存。布団圧縮袋の要領で本体にあるスイッチを押して、アタッチメントで空気を抜く

アタッチメントの裏面は磁石になっており、本体にくっつけて保管ができるのが便利

今回試用した高級炊飯器新機種3製品だが、いずれも高スペックで高価格な理由がうなずける。かまど炊きのようなおいしさにこだわり、ふだんは南部鉄器の鍋でガス炊飯をしている筆者だが、IHの火力で十分その味を引き出すことができ、さらに保温や炊き分けによって多くのメニューを楽しめるのであれば、高級炊飯器への乗り換えを検討せざるを得ない。圧力炊飯なので、炊飯前の吸水を省いてもお米の芯までしっかり水分が浸透しておいしく炊けるので時短になるのも助かる。ごはんの味は甲乙つけがたかったが、最終的には設置場所に適したデザインや大きさ、その他個人的にマストな機能で絞って選びたい。

前回まで
10万円炊飯器で炊く米は美味いのか? - 第1回 炊飯器に10万円、出せますか?
10万円炊飯器で炊く米は美味いのか? - 第2回 日立アプライアンス「RZ-W2000K」の「極上」コースを試す!
10万円炊飯器で炊く米は美味いのか? - 第3回 南部鉄器の内釜や15分炊飯が魅力の象印マホービン「NP-ST10」