これに伊藤氏は「カルトな方が面白いというのはわかる」と理解を示しながらも、「しかし、ブログで書かれた記事に専門家でないと判断できないことが書かれていた場合、第三者は何をもとに判断すればいいのか。コンテンツの正しさを何が証明するのか」とクローズであることに疑問を投げかける。
これに川上氏は「メルマガから引用して議論すればいい」と答えたが、実際のところは「メルマガからの引用はみんな(引用していいのかどうかを)気にしてやらない」のが実態であり、「気にしてやらないという、その文化は変わるべきだと思う」と述べた。
ただし、Twitterではメルマガから一文だけ引用して感想を書いたり意見をしたりするという、"小さな引用"現象がすでに起こっており、「ネットでクローズだったものがうまく接続する仕組みができてきた」(川上氏)のだという。
番組後半、ディスカッションは有料課金についての話題へと移った。
今後の有料課金の展望について井之上氏は、「メルマガはまだ若すぎる」と述べ、有料課金を継続していくためには「お金の再分配も大事だが、ノウハウの共有も必要」との考えを示した。
井之上氏:「一人で面白く書ける人はいいが、そのノウハウがなくなってしまうのはよくない。たとえば堀江さんや津田さん(津田大介氏)や山本さん(山本一郎氏)が面白いものを書いたら、そのノウハウをどんどんつなげていくことで面白さの底上げになる。今後の有料課金モデルにはそういうものがないと、やっている人は楽しくてもお客さんはお金を払ってまで見にこない」
「夜間飛行」では編集者を入れることで、実際にそういったノウハウの積み上げを行っているという。この意見を踏まえて、川上氏は「プラットフォーム側はコンテンツ制作に踏み込んでいかないといけない」と述べる。
川上氏:「夜間飛行さんがコンテンツで勝負するのは正しい。プラットフォームが複数ある場合、二番手以降はコンテンツも作るプラットフォーマーにならないとダメ。日本が唯一世界に勝っている任天堂もそうだし、編集者がつくことでいいものが書けるようになる人はいる」
事実、ドワンゴが運営するniconicoは当初動画共有サービス、つまりプラットフォームとしてスタートしたにも関わらず、最近ではニコニコ生放送で多数の公式番組を制作するなど、コンテンツ制作にも力を入れている。また、ブログとメルマガを組み合わせた有料メルマガサービス「ブロマガ」を開始したのも記憶に新しいところだ。
今後、有料メルマガをはじめとする課金モデルはどうなっていくのだろうか。また、課金モデルでクリエイターが生活できるようになるのだろうか。
川上氏:「今はコンテンツの数が多すぎて、人間の可処分時間の方が不足している。コンテンツの値段が安くなり、回るお金が少なくなって、ヒットを出し続けないと食えないのが現状。一方でプラットフォーム側は安定した収益があって、これは不平等。クリエイターが小さなプラットフォームを自分で持てることで毎月定期的なお金が入る仕組みが生まれ、多くの人が食べられるようになる」……続きを読む