メインの白米・無洗米では、炊飯コースは全部で6種類。標準的な炊飯を行う「ふつう」のほか、より粘りや甘みを引き出して炊飯する「極上」、極上+新米や吸水が早くベタつきやすいお米向きの「極上新米」、 通常の1.4~1.5倍程度の速さで炊ける「快速」、具入りで炊飯する「炊き込み」、「おかゆ」の各コースだ。特段個性があるとか、奇をてらったものはなく、極めて標準的なコースが用意されている印象で、機械操作が苦手な人にはかえって親切かもしれないと感じた。ちなみに、炊飯時間の目安は、ふつうコースで36~50分(0.5~5.5カップ)だ。
左側の最上段のボタンでお米の種類を選び、その下のメニューボタンで炊き方を選択するだけとシンプルでわかりやすい操作性 |
真ん中の"炊飯"ボタンを押して炊飯をスタートすると残り時間が表示される |
お米を浸してから炊飯する"浸し炊き"もできる。浸し時間を10~60分の間で10分間隔で設定可能 |
保温は、標準の「保温」のほか、高めの温度で保温する「保温高」、真空断熱効果と追加過熱で保温する「節電保温」の3種類用意されているのが特徴。スチームを使って保温するなど、保温機能にも力を入れていることが窺える。
家庭用品品質表示法に基づく年間消費電力量は66.77kWh、1回あたりの炊飯時消費電力は131.2Wh、1時間あたりの保温時消費電力量は12.71Wh、1時間あたりのタイマー予約時消費電力量は0.64Wh、1時間あたりの待機時消費電力量は0.61Wh。他社製品に比べて全体的に消費電力が低く、メーカーが省エネ性能を強調していることが実数値としてもわかる。
サイズは、幅26.7cm、奥行36.1cm、高さ24.6cm。重量は約7.9kgと、高級炊飯器のフラッグシップモデルの中ではコンパクトなのも特徴だ。蒸気も目に見えるか見えないか程度でほとんど外に出ないので、設置場所を選ばない点でのメリットが高い機種だろう。内釜の重量(実測値)も907gと軽めの部類。力の弱い高齢者の女性にも扱いやすいはずだ。
極上コースで炊飯したご飯を実食してみた感想は、ご飯の甘みがしっかり感じられ、粒感よりもふんわりとした食感がお好みの人にオススメの印象だ。玄米もしっかりと米の芯まで吸水し、ふっくら柔らかに炊けていた。
全体を通しての印象は、炊飯機能そのものに個性はないものの、使い勝手やサイズ感、保温、節電といった細かな要素にまで配慮が行き届き、質実剛健で平均点をしっかり維持した標準的な良製品だ。この製品でなければならないという強い主張はないものの、不満がない製品というのであればこれを選びたい。
「極上コース」で炊飯。炊き上がったご飯にくぼみがない |
つや感や粒感よりもふっくら、ふんわりとした仕上がり特徴。甘みが強く柔らか目のご飯が好きな人にウケがよさそう |
保温24時間後のご飯。スチームで保温するためか、パサつきがなく、ふんわりとした食感を維持していた |
玄米を炊飯。内釜の目盛りも表示が分かりやすい。手前側は白米用の目盛りになっている |
白米以上の吸水で芯のないふっくらとした玄米ご飯が炊き上がった。玄米ならではの固めの食感が好きな人は水分を控えめに炊いたほうがいいかもしれない |
■連載「10万円炊飯器で炊く米は美味いのか?」
第1回 炊飯器に10万円、出せますか? (2012年8月29日)