洞内の見どころは、通路の所どころで見られる自然が生み出した美しい造形の数々だ。仏像のようにそびえ立つ「白衣観音」、巨大なカエルを思わせる「ガマ岩」、見上げても果てがなく吸い込まれてしまいそうな「天井知れず」など、いくつもの幻想的な景観を楽しめる。洞内の神秘的な雰囲気をよりいっそう引き立てる、水琴窟の音色が楽しめるポイントもある。
それぞれに看板がついているので、入り口でもらえるリーフレットの地図と照らし合わせながら、確認していくのが楽しい。
「死出の山」周辺にぽっかり開いた巨大な空間では、大迫力の岩石の造形に大自然のパワーが存分に感じられた。ここには丘になったところに「縁結び観音」も座していて、訪れたカップルが仲良く手を合わせている姿も見られた。
「新洞」への急な上り階段はまさにアドベンチャー
洞内探検の終盤、急な金属製の階段を上った先にあるのが「新洞」。昭和37年に奇跡的に手つかずのまま発見されたというこのエリアは、石筍(せきじゅん)や石柱が発達し、乱立する鍾乳石が雄大な光景を織り成している。つらら状に伸びる鍾乳石は3cm伸びるのに200年、上に向かって成長する石筍は400年の年月を費やすといい、壮大な自然界の時の流れが感じられる。
足元は多少水たまりのある箇所があるくらいで、街履きのスニーカーでも十分歩けた。ときどき上から冷たい水滴が垂れてきて、ヒャッとなる。雨の日やその後日でも特に雨量の多かったときは、大量に水滴が垂れるそうなので簡易カッパなどを用意すると便利だそうだ。
幅のせまい道、かがまないと通れないような低い天井や蛍光灯の明かりに冒険心をくすぐられる。洞内をしばらく歩いていると、今いる場所が東京であることを忘れてしまいそうになるほどの異空間だった。家族連れやカップルのほか、筆者のように一人で訪れて楽しんでいる人の姿も見られた。この夏やり残した冒険の旅に出掛けてみてはいかがだろうか。