夏野:「インターネットは、組織じゃなくて個人でも使えるように(技術コストを)落としてきたのですが、動画、生放送になると逆にコストが上がってきちゃって、マルチコンテンツのプラットフォームを個人ベースで作ろうとすると、ものすごくお金がかかります。今回はそこを代行しようという」

佐々木:「それはありですね。動画・ライブ配信になると個人でやるのは大変だから」

ドワンゴ会長・川上量生氏

川上:「ユーザー管理をコンテンツホルダーがやるべきというのは大賛成。ニコニコは戦略的に正しいと言われましたが、戦略じゃないんですよ。これは本当の話なんですが、ニコニコはメールアドレスで登録するようになって、2年後に夏野さんがいらっしゃったんですが、その間1千万以上たまったメールアドレスに一回もメールを送ってなかったんです。うちはそういう会社なんです(笑)」

夏野:「僕が下世話なビジネスモデルをつけました(笑)」

佐々木:「だったら書き手の側がメールアドレスを管理できるようにすべきじゃない?」

川上:「それは単純に開発してないだけですね(笑)。ほったらかしにされているだけの話です」

津田:「著者側から要望が強くなれば開発されますか?」

川上:「というよりも、コンテンツの作り手が直接ファンとコミュニケーションできる方法は作らないとダメだと思っています」

夏野:「メールアドレスをどちらが管理するのかよりも、そこへ情報を出したいときに出せる自由度があればいい。権限があれば実際に管理してなくていいし、そういう意味では(ブロマガは)リストに対して自分の意志でいつでも好きな事を投げられます」

川上:「メールを送るところまではうちの判断でできるんですが、メールアドレスを教えるのはユーザーの許可が必要です。うちとしては囲い込もうという意思はないです」

津田:「購読している人に一斉配信を送る機能があればいい?」

佐々木:「結局は乗り換えが可能かですよね。SNSのグラフオープン化問題と同じで、Facebookがすべての人間関係を管理していてほかに移行できない問題が、有料課金プラットフォームの世界でもやってきています。次のフェーズとしては、おそらくこの秋にキンドルがきて定期課金モデルも始まる。するとドワンゴやまぐまぐとの争いが始まる。どうやって(キンドルに)勝つかというと、日本側として先行者メリットとしてキンドルがこないうちに書き手を囲い込みたいという気持ちはあるでしょう。しかし今、料率が日本は高い。まぐまぐは50%です。ありえない。AppStoreやキンドルは30%。30%がグローバルスタンダードです。ブロマガはいくらでしたっけ?」

佐々木:「……30%か。あとはどっちのほうが使いやすいのか。キンドルだったら書籍単体でパブリッシュする仕組みが簡単にできる。ブロマガだと作成ツールが使いにくいです。そういうインターフェースの勝負が始まります」

岩崎:「コンテンツを持っている人と、それを送り込む人は分かれていた方がいいと思っています。芸能人って、そういうのタッチしていないよという見え方のほうが、ファンがついてくるんですよね。ポーズでも、プロデューサーの陰が見え隠れしているくらいのほうがいいんですよ、ファンにとっては。結果的にコンテンツを提供する人の利益になります」

佐々木:「それマスモデルですよね?」

岩崎:「いや、小さなモデルでも不思議とそうなんです」

津田:「岩崎さんは直でファンとつなぐよりは、フィルターが何かしら存在がいたほうがいいと」

佐々木:「でも100人くらいしか購読者がいないとしたら、そこにプロデューサーの陰があるのはおかしいでしょう」……続きを読む