SSD業界は今後再編が進む可能性が高い

現在、SSD市場には多くのメーカーが参入しており、ちょっとしたバブル状態となっているが、今後もこうした状況は変わらないのだろうか。思い返してみれば、HDDも10年前くらいまでは、多くのメーカーが存在したが、合併や吸収が繰り返され、現在はわずか3社にまで再編されている。そこで、SSD業界の今後の展望について訊いてみた。

―― 今後、SSD業界はどうなるのでしょうか?

Samsung SSD 830は、Toggle DDR(ダブルデータレート) NANDフラッシュを採用している

田中氏「今の段階は、まだアーリーアダプタのマーケットだと思います。今後はコモディティ化が進みますが、そこに至るまでには、ユーザーインタフェースがもっと簡単になったり、フォームファクターが変わったりとか、そういう要件を満たしてようやくコモディティ化するのではないかと。だから、本当にコモディティになるには、あと2年くらいはかかるのではないかと思っています。

1つの指標としては、コンシューマ向けストレージの市場規模が、2011年で約440億円だったのですが、そのうちの40億円がSSDで、残りがHDDです。ですから、まだ全体の10%ぐらいしかないんですね。SSDがアーリーアダプタからコモディティになっていく間には、確実に市場が逆転していくと思っています。そのキープレイヤーになるのが、やはりサムスンであると確信しています。

これまでお話ししてきたように、NADNフラッシュ、コントローラ、ファームウェア、DRAM、これらをすべて自社開発し、自社パーツを使っているというのは、世界でサムスンだけなんですね。今の日本市場では、SSDのブランドが全部で28あり、製品の数は200以上になります(編注:2012年7月23日時点)。しかし、上位の3ブランドでマーケットシェアの60%を占めています。5位まで入れると80%です。つまり、残り20%のところに、二十数ブランドあるという状況になっていて、遠からず優勝劣敗が明確になっていくと思います」

―― その中でサムスンはどういう製品展開をする予定なのでしょうか?

トリプルコアのコントローラ「MCX」の動作を表した模式図

岡田氏「現在、Samsung SSD 830の後継製品を開発中です。現在の状況は、いたちごっこというか、Samsung SSD 830が2011年11月に登場したときは、世界トップの性能でしたが、今は他社さんも一巡して最新モデルを出してきました。我々が新製品を出しても、他社も追いついてくる。

ただこれがずっと続くかというと、そうではないと思います。NANDフラッシュ自体のコントロールが難しくなってきているので、今後はNANDフラッシュを十分に制御できるところが限られてくるでしょう。現在は部品を組み合わせてアセンブリするだけのサードパーティーが二十数社もありますが、NANDフラッシュには価格のアップダウンがつきものですので、採算が合わなくなったら、かなりの部分が淘汰されていくと思います。最終的には、NANDフラッシュとファームウェア、コントローラのチューニングができるようなメーカーに限られてくると思います。

なぜサムスンが自社製のコントローラにこだわるのかというと、やはりNANDフラッシュの扱いがそれだけ難しくなってきて、コントローラを自分のところで抱えていかないと、いい製品が出せないから、チューニングができないからということなんですよ」

コモディティ化と最新テクノロジーの両方を追求

サムスンはSSD業界のトップランナーであり、今後もSSD業界を牽引していくことは間違いない。最後に、両氏に読者へのメッセージを語ってもらった。

―― 最後に読者へのメッセージをお願いします。

岡田氏「私からのメッセージは2つあります。1つは、128GBや256GBのSSDは手の届きやすい価格まで下がってきています。トータルコストの観点からいうと、絶対に早くSSDを導入すべきだと思います。2つ目は、最近のエコ重視という風潮にもSSDはマッチしています。みなさんがHDDからSSDに変えてくれれば、『チリも積もれば…』ではないですが、意識が変わってくると思います」

田中氏「ITGマーケティングは、アイ・オー・データ機器とトーメンデバイスの合弁による、サムスン製品に特化した商社です。サムスンのグローバル戦略に基づき、日本市場でのマーケティング活動を、アイ・オー・データ機器のインフラやノウハウも活用して行っていきます。SSDを通して"Samsung"ブランドを育てていくためにも、これからも万全のサポート体制を敷いて展開していきます。どうぞご期待ください」