Officeもオンラインで拡張する「Office Store」
昨日、次期Officeスイートとなる「Office 2013」のカスタマプレビュー版が公開されたばかりだが、Windows 8のMetroアプリケーション配布システムとなるWindows Storeと同じく、Office専用の「Office Store」を発表した(図13)。
Office Appsに関する公式ブログ「Apps for Office and SharePoint Blog」では、以前からクラウドアプリケーションのモデルを導入すると表明しており、Office Storeの存在にも言及している。しかし、ブログ記事を公開した7月中旬時点でOffice Storeはオープンしておらず、多くの注目を集めていた。
そんな最中、米国時間の8月6日にやっとOffice Storeがベータ版としてオープンした。Office担当製品マーケティングマネージャーのVivek Narasimhan(ヴィヴェク・ナラシムハン)氏は、Office Storeを構築した理由として、「多くのツールや重要な情報をOfficeやSharePointと統合できるようにするため」と説明し、同Storeに並ぶアプリケーションは、Windows Store同様に「ユーザーが信頼できるものに至るまで、広範囲な審査プロセスを経てから」公開されるという。
以前からMicrosoftは、Office.comというOfficeスイートのテンプレートや追加データをWeb上から提供するサービスを展開していたが、今回オープンしたOffice Storeも最終的にはOffice.comに統合されるのだろう(図14)。
意外なのがOfficeアプリケーションの数である。Office Storeには自社製アプリケーションだけでなく、LinkedInやBritannica Researcherなど多くのサードパーティメーカー名を確認できた。アプリケーション自体は25種類程度にとどまっているが、メーカーの数を踏まえると比較的長い準備期間をかけてきたことがわかる。
ダウンロードはMicrosoftアカウントと関連付けられており、同アカウントでログオンした状態でOffice Storeにアクセスし、インストールしたいOfficeアプリケーションを選択。この時点でひも付け処理が行われ、その後のExcel 2013やOutlook 2013などからアプリケーションを追加する仕組みだ。
また、同アカウントへのひも付けにより、異なるコンピューターからログオンした際も同じアプリケーションを使用できる。なお、アプリケーションを使用したドキュメントを他者に送信した際も、必要な情報がドキュメントに付加し、相手側でも閲覧可能になるそうだ(図15~18)。
Windows Storeと異なるのが、Office Storeだけでなく社内のファイルサーバーなどを介してアプリケーションを配布できる点。加えてソフトウェア開発者は有償アプリケーションを開発し、Office Storeで公開することも可能だという。
その際の手数料は収益の20パーセントに設定されており、Windows Storeの70パーセント(25,000ドルを超えると80パーセント)よりもお得だが、自身のサイトで購入できるようにリンクを張ることもできるという。このあたりはWindows Storeと比べて柔軟な設計になっているようだ。
より詳しい情報は開発者向けサイトのBuild apps for Office and SharePointをご覧いただきたいが、Office Storeの登場は販売ラインを持たない中小のソフトウェア企業には、明るいニュースとなるのではないだろうか。同時にMicrosoftにとっては、Officeスイートのプラットフォーム性を強化する新しい試みとして、今後を占う試金石となるだろう。
阿久津良和(Cactus)