3GからLTEへ

3社とも、設備投資は拡大を続けている。ドコモは同29.8%の1,774億円で、通期では7,350億円を想定する。特にいち早くサービスを開始したLTEサービスのXiのエリア展開を進め、第1四半期には基地局が9,800局となり、人口カバー率は32%に達した。2012年度末には21,000局まで拡大し、カバー率を70%まで拡大する意向だ。

Xiの契約数は、332万契約に達して純増に増加。通期では1,000万契約以上を目指し、FOMAからXiへの移行を進める考えだ。LTEでは電波利用効率が高いため、移行が進むほど、収益には有利になるからだ。

現在、Xiの料金は定額で月額4,935円、2段階定額では月額2,100~5,460円だが、今年10月からはキャンペーンが終了し、それぞれ月額5,985円、月額2,100~6,510円になる。そのため、1カ月3GBまでの定額制であるプランを新設し、これを月額4,935円にすることで、利用者層の裾野を広げたい考え。なお、「(FOMAユーザーの)7~8割は3GBに収まる」(ドコモ・加藤社長)見込みだ。

KDDIの設備投資は、同29.9%増の999億円で、通期では4,500億円を見込む。今秋からはLTEサービスを開始する予定で、急速に基地局を拡大していきたい考え。12年度末までには実人口カバー率で96%を目指していく。

LTEサービスの価格体系はまだ公表していないが、「3Gよりは安くならない設定にしたい」(KDDI・田中社長)意向で、現在の通信料金よりは高い設定になる見込みだ。

ソフトバンクの設備投資は、同2%減の824億6,400万円で、通期では4,500億円規模を想定する。従来の基地局増強に加え、プラチナバンドと呼ばれる新周波数帯の基地局設置を行う。そして秋からはLTE(FDD-LTE)も開始する。スマートフォン向けのパケット定額で、月額5,985円で提供する予定だ。

基地局数を拡大しているソフトバンク

FDD-LTEサービスの価格は、スマートフォン向けのパケット定額で月額5,980円に

ソフトバンク・孫社長も、「3Gよりは高いARPUを実現できるようにする」という考えを示しており、おおむねドコモと一致した価格になる見込みだ。

KDDI、ソフトバンクともに、「キャンペーン価格がどうなるか分からない」としており、サービス開始時にはアーリーアダプターの獲得を目指して、料金の割引施策などを打ち出していく見込みだ。ドコモのような段階制の料金プランの導入など、詳細については現在、明らかにされていない。

ソフトバンクはTD-LTE(AXGP)による「SoftBank 4G」を提供しているが、FDD-LTEサービスも提供することで、ネットワークのバリエーションを増やす。KDDIはWiMAXを抱えており、オフロード用途も含めてLTEとともに活用していく見込みだ。

この結果、すでにLTEサービスを提供するドコモ、イー・アクセスとならんで、携帯電話4社がLTEサービスの提供で並ぶことになる。高速・大容量・低遅延というLTEの特徴を踏まえた、いわば「プレミア価格」でのサービス提供になる見込みだが、今後、新たなネットワーク領域での競争が激化すると言えるだろう。