防水仕様のワンセグチューナー搭載製品という点以外で、本機の大きな特徴となっているのが「お部屋ジャンプリンク」機能だ。同機能は、パナソニックがDLNAを独自に拡張したものだ。DLNAに関してはもはや説明不要かもしれないが、簡単に言うとレコーダーやPCなどをサーバーとして利用し、ネットワーク経由で映像などのコンテンツを再生する仕組みだ。

「お部屋ジャンプリンク」機能の起動画面。画面下部には「放送を見る」「ビデオを見る」「写真を見る」「かんたん転送設定」のボタンが並んでいる

お部屋ジャンプリンク機能の全てを確認したわけではないが、一般的なDLNAプレーヤーと比べると、チャプターを認識する点が大きな違いだといえるだろう。

一般的なDLNAプレーヤーの場合、録画したコンテンツの再生中にスキップボタンを押すと、次のタイトルに移動してしまう。それに対してSV-ME1000では、コンテンツに記録されたチャプター情報を読み取って、次のチャプターに移動する。最近のレコーダーでは、「オートチャプター」機能を搭載してるモデルが多い。オートチャプター機能では、録画時にCMと本編の境目にチャプターを自動的に挿入するほか、シーンの切り替わり時などにもチャプターマークが打たれる。SV-ME1000では、チャプタースキップボタンで、CMスキップやシーンスキップができるわけだ。これだけでも、操作性はかなり向上する。

「ビデオを見る」を選んだところ。ここから、見たい番組を選択すると再生がスタートする。レコーダー側で打たれたチャプターを認識してくれるのは、非常に便利

「放送を見る」を選んだところ。「ディーガ」シリーズに搭載されているチューナーからの映像を見ることができる

また、同社のBDレコーダー「DIGA(ディーガ)」シリーズとネットワークで接続している場合には、ディーガに録画されているコンテンツだけでなく、放送中の番組もお部屋ジャンプリンク経由で見ることができる。つまり、ディーガのユーザーであれば、自宅でSV-ME1000を使用している際には、ワンセグだけではなくフルセグの放送も視聴できることになる。内蔵のワンセグチューナー以上の画質で地デジを楽しめるだけでなく、BSやCSデジタルの放送も、視聴することが可能となる。

ただし、こういった拡張が行われている都合もあるのだろうが、制約事項もある。お部屋ジャンプリンクの「DIGA/VIERAの選択」は、ディーガ(あるいは録画機能内蔵かつDLNA対応の「VIERA(ビエラ)」シリーズ)以外のDLNAサーバーは表示されない。ネットワーク内にそれ以外のDLNAサーバーがあっても、ここからは利用することができないわけだ。

「DLNA」を選ぶと、ディーガ以外のDLNAサーバーにアクセスできるが、SV-ME1000だけでは、他のレコーダーに録画された番組を再生することはできない

では、お部屋ジャンプリンク機能ではなく、DLNA機能の方を使用すれば……ということになるのだが、残念ながらSV-ME1000のDLNA機能は、DLNAプレーヤー機能ではなく、DMC機能(※)を中心としたものだ。ディーガ以外のレコーダー内のビデオファイルは、SV-ME1000だけでは再生できない。録画したコンテンツの一覧まではたどり着けるのだが、そこからタイトルを選択して再生しようとすると、「このタイトルは再生できません」と表示されてしまう。SV-ME1000のDLNA機能の設定画面には、再生機器の選択という項目が存在している。ここで選んだ機器をプレーヤーとして使用するDMC機能が搭載されているということなのだろう(ちなみに、音楽ファイルは本機のDLNA機能でも再生可能だ)。

※DMC(デジタルメディアコントロール機能)とは、DLNAサーバーに保存されているコンテンツをDLNAプレーヤーで再生できるようにする、ネットワーク上のリモコン的な機能のこと。

「再生機器の選択」が空欄になっている

再生機器を選択しようとすると「再生機器が見つかりません」と表示される

さらに、ここで使用できるDLNAプレーヤーもビエラに限定されているようなのだ。筆者の手元にあるDTCP-IPに対応したDLNAプレーヤーはバッファローの「Link Theater」のみで、これでしか確認はしていないのだが、「再生機器の選択」の場所には何も表示されなかった。選択しようとすると、「再生機器が見つかりません」と表示される。ディーガやビエラ以外のDLNA機器を使っているという人には、少々困った制約だ。

このような制約から本機は、汎用的なDTCP-IP対応DLNAプレーヤー機能を搭載するタブレット端末が欲しいというユーザーには、少々物足りないかもしれない。ただし、使用しているテレビとレコーダーがパナソニック製という方には非常に利便性が高く、オススメできる機器となっている。