アウトカメラでの静止画撮影では、"Face Zoom Up"機能が面白い。人物撮影時に人物の顔部分をダブルタップすることで、瞬時に顔部分をズームアップし、適切なサイズ感で撮影できるというものだ。Facebookなどのプロフィールアイコンに自分の顔写真を使いたいとき、あるいは端末の電話帳に登録している連絡先にその人の顔写真を追加したいときなど、便利に活用できるだろう。

また、一度に20枚までの連写が可能なことと、その連写機能を応用した"Best Photo"機能にも注目したい。たとえば動きのある写真を撮影するときに、ベストな1枚を得るのはなかなか難しいもの。特に子どもや動物を撮りたいときは、撮影者の意図とは無関係に被写体が動いてしまうため、ほしいアングルや瞬間を狙って撮れることは少ない。こんなとき、連写機能を活用するのもいいが、"Best Photo"機能を合わせて使えば、連続で8枚の写真を撮影し、その中から一番よく写っているものをピックアップできる。しかも、人物の撮影時は顔認識もきっちり行われるので、ピントがずれた人物写真ばかり……ということもない。この8枚の連写の開始から終了までは、時間にして2秒ほど。2秒間に1回シャッターを切る、なんていう1枚ずつのハイペースな通常撮影を行うシーンはほぼありえないので、用途によっては常に連写モードにしておいてもよさそうだ。

動きのある被写体を撮影するときも"Best Phto"機能を使えば安心だ

ただし、ホワイトバランスや露出補正機能、撮影内容に合わせた適切なカメラ設定を行う"シーン設定"などを使いたいときは、1枚ずつの通常撮影モードにしておく必要がある。なお、通常撮影では感度(ISO)設定も可能になっており、オートはもちろん、ISO 100~800の間で選択して、周囲の明るさ・暗さに応じた適切な感度で撮影できる。さらに、測光方式を3種類の中から選んで、用途やシーンに応じた最適な露出計測が可能。しかも、マクロモードが用意されていることから、数センチの距離からでもしっかりピントを当てて撮影できるのはうれしい限り。小さな昆虫や植物などを細部まで捉えられ、食事のスナップショットも間近からフォーカスできる。撮影者のスキルに合わせて使いこなすことが可能な、コンパクトデジカメに近い機能を備えていると言える。

ホワイトバランス、露出補正ももちろんOK

シーン設定では風景、人物、スポーツなど、あらゆる撮影シーンに最適な設定を自動で行ってくれる

感度設定はISO 100~800まで選択できる

マクロモードで極至近距離からの撮影も問題なし

ISO 800で撮影。かなり暗い場所でも細部までしっかり描写してくれる。(オリジナル画像はこちら)

ディスプレイとカメラ、インターフェイスの細部まで作り込まれたベストな一品

大画面・高画質の「4.8 HD SUPER AMOLED」を搭載し、高性能なカメラを備える「GALAXY S III SC-06D」は、単に最新のスマートフォンがほしい、という人だけでなく、動画の閲覧やSNSでのコミュニケーションを快適にしたい人、普段から写真や動画をたくさん撮っている人にも強くおすすめできる製品だ。

特にカメラについては、前述の多彩な機能に加え、モノクロ・セピア・色あせなど、さまざまな特殊効果を加えた撮影が可能な点と、カメラ機能利用時に表示される各種機能ボタンをカスタマイズできる点も、忘れずに付け加えておきたいポイントだ。バリエーション豊かな撮影スタイルと、ユーザーごとの異なる使い方にマッチする操作性を実現できるのは、他のスマートフォンにはない大きなメリットだろう。

特殊効果をリアルタイムでカメラ映像に反映するので、仕上がりを把握しながら撮影できる

カメラ撮影時に画面左に表示する機能アイコンは、長押しで編集画面を表示し、よく使うものに入れ替えられる

ちなみに、Android 4.0は、既存の多くのユーザーが慣れ親しんでいるAndroid 2.3系とは異なるユーザーインターフェイスになっているために、賛否両論あるとされている。しかし「GALAXY S III SC-06D」では、そういった細かいようでいて人によっては気になりがちな部分についても、ユーザー視点に立ったインターフェイスにきっちり仕上げており、早くからAndroidスマートフォンに取り組んできたサムスン電子のノウハウが確実に活きていると感じられる。ディスプレイやカメラ機能だけでなく、日本市場独特のFeliCaに対応したうえで、インターフェイスの基本的な部分でも手を抜かずに作り込んでいる本製品は、現時点におけるスマートフォンのベストチョイスであることは間違いないだろう。