いまが旬の言葉をすばやく入力

もうひとつ、ATOK 2012の目玉ともいえる新機能が「ATOKキーワードExpress」だ。かんたんにいえば、インターネット上で使われる機会が多い"いまが旬の言葉"に対応した変換辞書で、すばやい入力を可能にしてくれる。

旬の言葉をクラウド上のデータベースから随時拾う「ATOKキーワードExpress」

7月現在配信中のジャンルは、ニュース/スポーツ/政治/エンターテインメントを対象とした「ホットキーワード」、政治・経済用語や話題の企業名、ビジネス向け新サービス/新商品の「ビジネストレンド」、各スポーツ分野の最新キーワードや人名の「スポーツ」、近日公開予定の映画名や話題の芸能人、アニメやゲームの「エンタメ・カルチャー」の4種類。いずれもTwitterやFacebookなど、SNSサービスで重宝しそうだ。

新作・近日公開予定の映画で試してみたところ、「あめいじ」と入力した時点で意図どおり「アメイジング・スパイダーマン」が候補に現れた。毎年夏恒例のポケモン映画はどうかと思い試したところ、「きゅれ」までタイプした時点では「キュレーション」などが候補に表示されていたが、「きゅれむ」の時点で候補は「キュレムVS聖剣士 ケルディオ」となった。自分の興味あるジャンル、ツイートやメールに書く(かもしれない)キーワードがどれほどカバーされているかで評価は大きく分かれそうだが、ピタリとはまれば入力効率は格段に向上しそうだ。

最新の映画も一発変換できるところが強み

なお、ATOKキーワードExpressの利用には製品のユーザー登録が必要。クラウド上の語いデータベースにアクセスする都合上、インターネット接続時の利用が前提となるため、留意しておきたい。

複数デバイス間で単語を共有

強化された「ATOK Sync アドバンス」も、ATOKユーザにとって注目の存在だ。Mac版/Windows版ATOKのほか、Android OS向け日本語入力システム「ATOK for Android」、アプリという形ではあるがATOKの入力機能を利用できるiOS向け「ATOK Pad for iOS」と「Tweet ATOK」を使えば、ATOKが動作するデバイス間でさまざまな情報を共有できる。

最大の変更点は、Windows版ATOKとの連携強化。従来は「お気に入り文書」と「登録した単語」のみが同期対象だったが、これに「変換辞書の学習情報」と「確定履歴」が加わった。環境設定の同期はWindows版同士のみでのサポートとなるが、Parallels DesktopやVMware Fusionといった仮想化ソフトを使うMacユーザが多い現在、利便性が高まることは確かだ。

ATOK 2012 for Windowsとの連携を強化する「ATOK Sync アドバンス」

ATOK 2012 for Macで変換後確定した単語が、同期後はWindows版でも一発変換できた

まとめ――エンジンの進化+側面支援の充実でかなり使える仕上がり

このように、日本語入力システムとしての正攻法ともいえるASエンジンの搭載と、ATOKキーワードExpressとATOK Syncという側面支援的機能により、ATOK 2012はかなり使い勝手のいい仕上がりとなっている。客観的な数字を出して説明することはできないが、ATOK 2011に比べ誤変換が減り、心なしか変換もスピーディーになったように感じられる(以前は確かにあった"引っかかり"が減った印象)。このあたり、IMKit特有の事情なども含め、開発チームに取材すればおもしろい話が聞けるのかもしれない。