花屋でバイトする一途な青年と未亡人の花屋の店長、その店長の夫の幽霊との奇妙で切ない三角ラブストーリーを描いた河内遙氏の人気コミック『夏雪ランデブー』(祥伝社・フィールコミックス)がTVアニメ化! 2012年7月5日の深夜より、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送開始となる。
原作は、2009年に異例の4社同時コミックス発売でデビューを飾り、翌年にはそれを上回る、『夏雪ランデブー』(祥伝社)をはじめとする3カ月連続5社発売フェアも開催されるなど、マンガ界のアンファン・テリブル(恐るべき子供たち)と称され、今もっとも期待が高まる気鋭の女性漫画作家・河内遙氏の同名コミック。
今回のアニメ化にあたって、監督に『ローゼンメイデン』で監督デビューした松尾衡氏を起用。プレスコ収録を積極的に採用し、声優の演技を従来のアニメの既成概念を超えたネクストレベルへと押し上げたその手腕は本作でも遺憾なく発揮されている。本作では、シリーズ構成・脚本・音響監督までをも務め、緻密な演出と色彩美で原作の世界観を丁寧に創り上げていくという。キャラクターデザインは谷口淳一郎氏、アニメーション制作は動画工房が担当する。
注目のメインキャスト陣は、一途な花屋のバイト青年・葉月亮介役を中村悠一、葉月が思いを寄せる未亡人の店長・島尾六花役を大原さやか、六花の夫の幽霊・島尾篤役を福山潤が担当。そこで今回は主人公・葉月亮介役を演じる中村悠一が語った作品の魅力を紹介しよう。
※インタビュー中、一部ネタバレに近い部分も含まれております。あらかじめご了承ください。
中村悠一が語るTVアニメ『夏雪ランデブー』
――まずはご自身が演じる役どころについて教えてください
中村悠一「特に紹介するようなこともないぐらい、普通の人ですね(笑)。花屋の店長に一目ぼれし、その花屋で働けばどうにかなるんじゃないかと思って働きに来る好青年です」
――今回、オーディションが独特だったとお聞きしたのですが、どのようなオーディションだったのですか?
中村「普通のオーディションは、スタッフがミキサールームにいて、僕たちは1人ずつスタジオに入り、向こう側から演出をいただきながら演じるという感じなのですが、今回の場合、テープオーディションでかなり人数が絞られてからのスタジオオーディションだったようで、監督がスタジオの中に入ってきて、そのまま戻らずに、『隣で聞いているから、ここでちょっと芝居をしてみて』と。そして、もしキャラクターが立ってやりとりをしているシーンじゃなければ、座ったまま演じてもいいので、マイク前にこだわらず、とにかく楽なスタイルで演じてみてほしい、みたいな感じだったんですよ。これまでに経験したことのない方法だったので、すごく新鮮でした」
――監督が横に居ると、いつもとはちがうプレッシャーがあったりしませんか?
中村「僕は特に感じなかったですね。昔、お芝居をやっていたのですが、舞台の稽古だと、演出家さんを目の前にして芝居をするじゃないですか。何か、それを思い出すような懐かしい気がしました」
――本当に舞台で演技をするような感じですね
中村「そうですね。それを音で聞かせるのか、見た目で見せるのかの違いがあるだけで、雰囲気を見たいのであれば、マイクを通さないほうがわかりやすいかもしれません」
――オーディション前に原作はお読みになられましたか?
中村「一番最初のテープオーディションのときは、いただいた資料だけで、原作はまだ読んでいませんでした。それで、スタジオオーディションが決まったんですけど、いただいた資料だけだとわからないことが非常に多くて……。断片的なんですよ。資料には、録るセリフの前後ぐらいしか書かれていなくて、そもそもなんで葉月は幽霊と話しているのかも全然わからない感じだったので、本オーディションに入る前に目を通させていただきました」
――オーディション前の印象と、実際に演じてみての印象で、ちがったところはありますか?
中村「マンガの絵の表現だけを見ると、最初の断片的な資料だと、葉月は表情のパターンが乏しいんですよ。特に目の動きが少ないので、わりと仏頂面なキャラクターとして固めたほうがいいのかなって思っていたのですが、オーディションのときに監督から、『泣いたり、喜んだりするシーンは、思い切り、きれいにならず、グズグズの汚い表現でもいいから、人間らしく演じてください』って言われたんですね。そういう監督からの指示を踏まえての合格だったわけなので、それにそった表現をしなければならないという観点から、あらためて原作を読ませていただいたところ、実はすごく感情のふり幅があるキャラクターなんじゃないかって。最初はいけ好かない感じだと思っていたんですけど、けっこう人間として可愛らしいところがあるんじゃないかなって思いました」