スピーディーなパーティション復元機能を搭載
「HD革命/FileRecovery」が備える機能の一つとして、パーティション復元機能がある。何らかの理由でファイルシステムが破損し、OSが認識しなくなってしまった場合、通常はバックアップデータから復元するか、保存したデータをあきらめるしかない。だが、ファイルの削除ロジックと同じように、ファイルシステムの破損状態によっては復元させることができるのだ。
例えばWindowsの「ディスク管理」機能でパーティションを削除した場合、その領域は「未割り当て」状態となる。そもそもHDDでは、MBR(Master Boot Record)に記録されているパーティションテーブルを元に各パーティションを管理しており、この情報をスキャンし復元操作を行うことで、パーティション自体を復元することが可能だ。
もちろんHDDをフォーマットしてしまうと本機能も使用できないが、Windowsでは通常のフォーマットとクイックフォーマットの2種類が存在する。前者はデータ領域まで初期化してしまうため、ユーザーレベルで対処するのは難しいが、後者はインデックス情報のみ初期化するので復元できる可能性が残る。
ただし、インデックス情報に記載されていたファイル名やファイルサイズなどの情報が失われているため、元と同じファイル名で復元を行うことは難しいのは事実。それでも、操作ミスやハードウェアトラブルで発生するパーティションの消失から回避策が残されているのは、大きなアドバンテージとなるだろう(図09)。
具体的な操作はファイル復元時よりも簡単で、パーティション情報のスキャンを実行するだけだ。パーティションテーブル情報も64バイト程度なので、スキャンは数秒で完了。後はパーティションテーブル情報を書き換える処理をボタン一つで実行するだけだ。この操作でパーティションを復活できない場合は、「詳細スキャン」モードを試してみるとよい。同モードは、セクターごとにパーティション情報を検索し、初期状態の「高速スキャン」で見落とした情報も検出できる可能性があるからだ。
なお、ファイルの復元機能やパーティション復元機能は、お使いのコンピューター環境や使用状況に応じて性能が左右される。それだけに比較的高価なソフトウェアを購入したが、うまく動作しなかったと嘆く方も少なくないだろう。そのため、各ソフトウェア販売会社はデータ復元ツールの体験版を用意しているが、今回紹介している「HD革命/FileRecovery」も例外ではない。
ただ、本製品が優れているのは、スキャンの手間を最小限に抑えている点だ。一般的なデータ復元ツールの体験版は、スキャンを実行し、いざファイルを復元しようとすると製品版の購入を求められる。つまり、スキャンを二度実行しなければならないのだ。その点「HD革命/FileRecovery」は、スキャン実行後、すぐにファイルの復元を実行できるようにするため、購入先へのリンクを表示する仕組みを用意している。そのため、購入したシリアルNoをダイアログに入力するだけで、スキャン時間を無駄にせず、復元作業を行えるというわけだ(図10)。
このほかにもWindows LiveメールやMicrosoft Outlookに特化したメールクライアントデータの復元機能なども備える「HD革命/FileRecovery」だが、全ての機能を備えるProfessional版と、パーティション修復機能やファイルコピーツールを省いたStandard版の2種類が用意されている。価格差が存在するため、どちらがよいと言い切ることは難しいが、データ消失の可能性を最大限に押さえ込むのであれば、多機能なProfessional版を選択した方が安全だろう。まずは体験版を実際に試して「HD革命/FileRecovery」の能力を自身で体験してほしい。