2009年にNHK総合で放送され反響を呼んだ渡部篤郎主演のドラマ『外事警察』が、映画化され6月2日に公開される。夫と娘とごく普通の暮らしをしていたはずなのに、「公安の魔物」と呼ばれる外事警察・住本(渡部)によってスパイに仕立てあげられ、スパイ活動を行う主婦・奥田果織を演じた真木よう子に話を聞いた。

真木よう子
Photo:糠野伸 hair:masato for marr (PRIMAL) make:島田真理子(高橋事務所) styling:宮澤敬子(D-cord) 拡大画像を見る

――真木さんは本作からの参加となりますが、その魅力についてお聞かせ下さい。

真木「そもそもこのような組織があることすら知らなかったですし、自分はこの映画から『外事警察』の世界に入ったのですが、作品全体の雰囲気もいいし、脚本を読んで素直に面白いと思いました。詳しくは言えませんけど、物語としては住本に騙されていたかもしれない果織が、逆に実は住本を手のひらで転がしていたかもしれない、と思わせるような面白さもあると思います」

――今回、演じられた果織という役ですが、役づくりの面で何か工夫なり苦心されたことは?

真木「やっぱり外事警察というものが非日常的ですし、ある日突然、警察に協力をさせられ、夫をスパイするということ自体、想像しづらいですから、よく分からないまま追い詰められていくそのままの表情を出すしかないですよね。騙される方、利用される側の立場だったので、母親として娘を守るという芝居で精一杯でした」

――確かに果織には、事件に巻き込まれ住本に利用されながらも『娘を守る』という母親の一念の強さを感じました。

真木「演じていてずっと思っていたのは、果織のすべての行動のもとになっているのが娘への深い愛情だということです。私も脚本をいただいた時からそこだけは譲れないというか、ただ単に過去に苦しんでいる母親、という簡単な存在に彼女をしたくなくて、それだけをずっと考えてました。でも、こういう役は今後もどんどんやっていきたいですね。すごく作品にのめり込めるぐらい、過去にいろいろなことがあったような役をやりたいです」……続きを読む。

STORY

国際テロを未然に防ぐため、その存在を徹底的に秘匿して対諜報活動を行う公安組織「外事警察」。民間人を協力者=スパイに仕立てあげるという特徴を持ち、任務遂行のためには手段を選ばないその非情なやり方が問題視され、一度は外事警察を追放された住本健司(渡部篤郎)がある日、再び外事に呼び戻される。CIAから「濃縮ウランが朝鮮半島から流出した」という情報を受け、核テロを防ぐべく奔走する住本が目をつけたのは、工作員とおぼしき貿易会社の社長、奥田正秀(イム・ヒョンジュン)の妻・果織(真木よう子)だった……。