米国にはMVNOを含め多くの携帯電話事業者があるが、Virgin Mobileは、英国Virgin社の携帯電話事業部が、米国でMVNOとしてスタートさせたビジネスだ。当初Sprint社のネットワークを借りるMVNOとして提供していたが、Sprint社に買収され、現在では、Sprintの携帯電話事業の1ブランドとしてビジネスを続けている。

Virgin Mobileの最大の特徴は、専用の「店舗(ショップ)」がなく、スーパーや電気店などでの端末販売のみという形態となっているところだ。だから、基本的な手続きなどはすべてWebか携帯電話自体で行えるようになっている。

Virgin MobileのWebサイト。新規契約、機種変更など、すべての手続きはWebから行うことができる。自分のアカウントには、右上のSign Inから入る

Virgin Mobileの端末は、かつては、米国で展開していたVirgin Recordなどで扱っていたが、Virgin Recordは米国から撤退しており、現在ではBest BuyやRadioShackなどの電機チェーン店か、WalmartやTargetなどのスーパーマーケットで扱われている。これらはほぼ全米をカバーしているため、アメリカ中どこへいっても入手が可能だ。

PayPalで支払いが可能

サービスは利用する前に料金を払うプリペイド方式で提供される。端末を扱う店舗やドラッグストア、コンビニにいけば、チャージ用のカードが入手でき、オンラインでクレジットカードまたはPayPal(音声通話契約のみ)で支払いができる。

筆者が、Virgin Mobileを使い始めたのは、PayPalでの支払いが可能であるため、結果的に日本発行のクレジットカードが利用できるからだ。最近では、AT&Tなどの大手事業者も、米国外で発行されたクレジットカードを、プリペイドシステムの支払いに利用できるようになったが、筆者が2007年頃に、Virgin Mobileの最初の端末を購入したときには、日本のクレジットカードで支払いが可能な事業者はほかになかった。

米国は、利用できる電話番号をすべて地域に割り当ててしまったため、日本のように携帯電話のサービスが始まったからといって090のような電話番号領域を新たに作ることができない。このため、携帯電話も必ずどこかの地域の局番を持つ。逆にいうと、電話番号が足りない地域はまったく足りず、余っている地域は余ったままなのである。こうした背景があるため、アメリカのプリペイド携帯電話は、しばらく支払いがないと、すぐに失効して電話番号を回収してしまう。連絡先として固定した電話番号を使いたければ、定期的にチャージして、契約を維持しなければならない。

しかし、筆者はアメリカに住んでいるわけでもないので、チャージを行うなら、日本からインターネット経由でできなければならず、このときにクレジットカードによる支払いができないと、プリペイド契約を維持できないのである。

もちろん、あらかじめ、プリペイドのチャージカードを買っておくという方法や、100ドル程度をまとめてチャージしておくという方法もあるのだが、ここ数年は円高が続いており、まとめて先払いすることは、コスト上昇を招く。できれば、ちまちまとチャージしたほうが、円高傾向にあるときには得だというよりは、損をしないやり方である。

筆者がVirgin Mobileを使っている理由の1つは、簡単にアカウントが無くなってしまわないことだ。有効期限が切れそうになると、しつこくメールで勧誘してくるし、1月程度ならば、アカウントを消さずに待っていてくれる。また、専用のショップを持たないため、すべての手続きがWeb上で可能であるため、日本から支払いなどの手続きが簡単に行えるというメリットもある。