これまでインターネットを対象に独自展開を行ってきたWindows Live。2005年11月から約七年にわたって展開してきたが、Windows 8の登場に合わせて発展的解体に至ることとなった。もっともWindows Liveが担ってきた機能を廃止するのではなく、Windows 8のMetroアプリケーションと連動し、これまで前面に押し出してきたブランドがなくなるととらえればいいだろう。その一方で、Windows Server 2012に実装予定の「Microsoft Online Backup Service」の存在が気になってきた。ReFS(Resilient File System)のようにサーバー限定の機能なのか、クライアントOSにも提供されるのだろうか。今週もMicrosoftの各公式ブログに掲載された記事を元に、Windows 8に関する最新動向をお送りする。
Windows 8レポート集
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Windows Liveブランドの終焉
本誌でも既に報じられているように、Windows Liveブランドを発展的に解体することがBuild Windows 8のブログ記事で表明された。そもそもWindows Liveは、Windows OS本体の開発スパンとインターネットの目まぐるしい移り変わりに対応するため、独立した開発チームである。
2005年11月からサービスを開始したWindows Liveは、以前大々的な改変を行ったWindows Live SkyDriveやインスタントメッセンジャーサービスであるWindows Live Messenger、各ツールをセットにしたWindows Live Essentialsなど数多くのサービスを展開。その一方で時代から取り残され、役割を終えたサービスは終了もしくは廃止に至っている。セキュリティツールを取り巻く状況から登場した「Microsoft Security Essentials」にリソースを注力するために終了した「Windows Live OneCare PCセーフティ」や、オンラインブックマークサービスとして始まった「Windows Live Favorites」など、名前に聞き覚えがある読者も少なくないだろう。
現在Windows Liveは毎月五億人以上のユーザーによって使用されている。その内訳として、電子メールサービスであるHotmailは三億五千万人が105P(ペタ)バイトの容量を使用。前述のWindows Live Messengerは三億人、Windows Live SkyDriveは一億三千万人が一千七百万ものファイルをアップロードしているという。この数字を羅列するだけでも、Windows Liveが巨大なサービスに成長したことは改めて述べるまでもない。
だが、その一方でWindows OSとは別ブランドとして存在するWindows Liveという存在の形が仇(あだ)となり、別途インストールしなければ使用できないというスタイルに違和感を覚えるユーザーが増えてきたそうだ。確かにWindows XP時代のように、電子メールクライアントとなるOutlook Expressが内包された状態で提供されてきた状況と比べると、今後増えるであろうコンピューター初心者が混乱する可能性は高い。そこで、一度離れたひなが親元に戻ってくるように、同社はいったん袂(たもと)を分かったWindows LiveをWindows OSと再び融合させる道を選択した。そして表題のWindows Liveというブランドの整理に至ったのだ(図01~02)。
以前のレポートでもご報告したように、Windows 8では同社が運営するシングルサインオンサービスであるMicrosoftアカウント(Microsoft Passport Network→Windows Live IDと改称)を使用し、同社のクラウドサービスを用いた設定情報の共通化を行う予定である。図03は以前のソフトウェア/サービスから置き換わる内容を表にまとめたもので、名称はWindows 8 Consumer Previewで確認したものに置き換えた。ブログ記事ではWindows PhoneやAPIなどに関しても掲載されていたが、わかりやすくするため今回は割愛した(図03)。
記事では最後に「今後数週間のうちに名称変更を行っていく」と述べているが、これはちょうど六月第一週に公開される「Windows 8 Release Preview(事実上のRC版:出荷候補版)」に合わせた改称なのだろう。OS本体はRC版がリリース間近、移行先となるMetroアプリケーションの準備も終了。いよいよWindows 8の登場が近づいてきたのだ。