透過性のあるパネルを使ったディスプレイでは、昼間など明るい時間帯はバックライトを照らす必要がないので、省電力で利用できるのだという。今後、商品を飾るショーケースや住居の窓、公共施設の案内板など、様々な用途が期待できるだろう。

透過性ディスプレイを採用した製品。奥に配置した模型が透けて見えている。タッチパネル対応なので、タブレット端末のように使用することができる

ブラインドを模したアプリを使えば、"ブラインドを下ろして" ディスプレイを非透明の状態にして使うこともできる(写真左)。ショーケースとして使用しても面白い(写真右)

このあと、建物の最上階にあるラウンジに案内された。天候に恵まれたこともあり、窓外からは北朝鮮の領内の様子が肉眼で確認できた。国境の街という実感が湧く。地上階に戻ると、会議室で新端末「Optimus Vu:(オプティマス ビュー)」の紹介が行われた。これについては、別稿で改めてレポートしたい。

当日は快晴で、最上階にあるラウンジでは国境向こうの景色も一望できた

スマートフォンの製造ラインを見学

2日目はソウルからバスで南へ約1時間半、平沢(ピョンテク)にあるLG Digital Parkの工場を見学した。この日は製造ラインで作業している現場への立ち入りが許された。残念ながら館内での撮影は禁止だったので、文字情報多めでお伝えしていきたい。

はじめに見学できたのは最終工程を行うラインで、ベルトコンベアで運ばれてきた端末の品質を従業員がひとつひとつ手作業でチェックしていた。ここでエラーが出たものは端末内のメモリにエラー情報が記録され、確認のために別のラインに運ばれるという。具体的には、端末を箱型の検査機の中に入れ、BluetoothやLTEの電波などが正しく受信できているか、などのチェックをしていた。

ひとラインにつき15人前後の女性従業員が立ち作業で端末のチェックなどを行う

ラインは朝晩の2シフト制により24時間の稼動が可能で、1日あたり平均で7,000台前後の端末を生産している。工場内では当然ながら埃などに最大限の注意をはらっており、案内された記者も防塵の作業服に着替えブロアー室を通ってから工場内へ入場した。

次に案内された製造ラインでは、電子パネルにノルマが表示されていた。これはその日の目標台数、(2時間先くらいを見越した)現時点での目標台数、これまで実際に何個つくったかなどが数値化されたもので、これにより作業の進捗状況が一目でわかるようになっていた。日本のメーカーの取り組みを参考にしたのだという。

オートメーション化が図られている工程、手作業での確認が重要となる工程など、様々な工程を経て製品が形づくられる

防水スマートフォンをつくるラインも見学できた。説明員によれば、このラインは工場内で最も空気が浄化された場所にあるとのことだった。防水端末は検査方法も複雑で時間がかかるため、生産台数も1日5,000台程度になるという。ボディの密閉性を調べるためには、まずエアで端末に隙間がないかチェックし、NGが出たものは高さ1mくらいの円筒形の水槽に沈められる。現場では実際にその作業をデモで見せてもらった。複数台の端末を水槽に入れ、蓋を閉めて圧力をかけて気泡が出る場所を突き止めるというものだった。

普段自分が使用しているスマートフォンもこうした作業員の地道な手作業や検査を経て出荷されたものなのだ、と改めて思った。製造工程を見学してそのありがたみが増した記者は、心のなかで手を合わせてから現場をあとにした。

携帯ショップも見学

午後は、明洞(ミョンドン)にある携帯ショップで取材をする機会を得た。韓国国内ではLTEの普及が日本よりも進んでいる。そのため、ショップで現在発売されている端末もLTE対応のものが主流になりつつあるようだった。

主力商品として販売されているOptimus Vu:

韓国ではLTE端末の販売が盛んになってきている

4.3インチIPSディスプレイを採用するOptimus LTE Tag

店頭では「日本人も商談することができます」という日本語の貼り紙が確認できた(写真右)

*  *  *

今回は既述の通り2工場を見学したほか、いくつかの新製品に触る機会を得た。中でも韓国国内において既発売の人気モデル「Optimus Vu:」は、非常に好印象を持った端末だった。別稿では実際の使用感などをお届けできたらと思う。

スマートフォン市場において、年々その存在感を大きくしているLG Electronics。工場の雰囲気やキャリアショップでの活気などは、やはり目を見張るものがあった。

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