記者は4月下旬、LG Electronicsのスマートフォン製造工場とディスプレイ製造工場を見学する機会を得た。本稿ではその様子をお伝えしたい。初日に訪れたのは、坡州(パジュ)市のLG Display工場。ここは北朝鮮の国境近くにある工場で、建物の最上階からは38度線の向こう側が目視できた。
未来のディスプレイ製品を見学する
エントランスで訪問客を迎えていたのは、100インチのTFT-LCDディスプレイだった。案内してくれたLG電子日本事業第一グループ課長のパク・ソンジュン氏によれば、このモデルは当時「世界最大のディスプレイ」としてギネスブックに載ったことがあるのだという。
見学コースの入り口には、未来の技術を感じさせる「トリプルビューディスプレイ」の参考展示が行われていた。これは1枚の平面ディスプレイながら、右・左・正面の3方向で表示映像を変えられるというもの。一般家庭向けのテレビとしてだけでなく、屋外広告のデジタル・サイネージ用としての活用も考えられる。
坡州市のLG Display工場周辺には、LG Electronicsと外国の企業が提携して建てた工場が点在している。38度線からわずか15kmという土地柄ということもあり昔は地価が安かったそうだが、坡州工場に勤めるLGグループの従業員が1万6,000人規模になったことで、土地の値段も7倍に跳ね上がったという。
見学コースでは、新製品の展示も数多く行われていた。「Extreme Slim LCD」ディスプレイは、幅2.6mmの世界最薄を実現したモデル。展示されていたのは42インチの製品で、ほかにも47、55、60、70インチのものが生産されているという。
55インチのパネルを9枚使用し165インチにした超大型3Dディスプレイは、まるで映画館のような迫力があった。また、84インチUHD(ウルトラHD)ディスプレイはタッチパネルに対応するもので、解像度がとても高かった。
IPS液晶を採用したノートPC「Shuriken」は、ディスプレイ部の厚みが非常に薄い製品。液晶の外枠に凹凸がない、いわゆる「ゼロベゼル」を実現したモデルだ。また、冷蔵庫のドア部分にタッチパネル対応ディスプレイを搭載したものも展示されていた。スマートフォンとの連携が可能で、例えばここに買うべき食材を登録しておけば、買い物のときに外出先から確認ができて便利だという。