拠点モジュールの埋設

もう1つの規定課題である「拠点モジュールの埋設」は、宇宙飛行士が長期滞在する拠点モジュールをレゴリスで埋めるというミッション。月面には強い放射線がそのまま降り注いでおり、宇宙飛行士の健康への影響が危惧されている。これを解決する方法として有力視されているのが、丸ごと埋設することだ。拠点モジュールを厚いレゴリスの層で覆うことができれば、放射線をある程度防ぐことが可能になる。

拠点モジュール埋設の作業内容。拠点モジュールは直径4m、長さ5mの円筒状を想定

千葉工業大学・未来ロボット技術研究センターの「Behemoth(ベヒモス)」は、ベルトコンベア状の脚を左右に4本ずつ装備したロボットだ。穴を掘ってから拠点モジュールを入れるのではなく、拠点モジュール自らが穴を掘って潜るというコンセプト。ベルトを回すことでレゴリスを外側にかき出すことができ、今回、動作デモはなかったが、実験室では3分くらいで潜れるという。

千葉工業大学の「Behemoth」。想定の1/20スケールで作られている

クローラを回転させることで、本体の移動や、埋設が可能

東急建設・技術研究所の「ルナー・テキスタイル構築ロボットシステム」は、土嚢で拠点モジュールの周囲に壁を築き、その中にレゴリスを流し込んで、埋めてしまおうというコンセプト。実験で使われたロボットは土嚢の壁を作るためのロボットで、繋がった土嚢(連結土嚢)の袋の中に砂を入れる機能、前後に移動する機能、本体の高さを上下する機能などが備わっている。

連結土嚢で壁を作り、拠点モジュールを埋めるイメージ

後ろに下がりながら土嚢に砂を詰める。これを何段も積み重ねて壁を作る

東急建設のロボット。壁の高さに合わせて、本体の高さも変えることができる