そのほか、避難所にはいつでもすぐに使える「衛星携帯電話」を3,000台備蓄する方針。山田社長は「各避難所に3、4台が行き渡るように配備を進めていきたい」と話した。

大ゾーン基地局の設置と基地局の無停電化・バッテリー24時間化

基地局のバッテリー24時間化と3,000台の衛星携帯電話の提供

衛星・マイクロエントランスも充実をはかる

発災時には110番、119番などの重要通信を優先させるため、ドコモ側で適宜通信規制を行っている。山田社長によれば、先の震災では音声通信が平時の50倍~60倍に膨れ上がったため、ピーク時には90%の規制を行わなければいけなかったという。その一方、メール通信に関しては震災当日こそ30%の規制を行ったが、翌日からは一切規制を行う必要がなかった。この教訓から開発されたのが、災害用音声お届けサービスだ。山田社長によれば、このサービスは「メールアドレスがわからなくても番号で発信できる、デジタル電送路を利用するので通信が輻輳(ふくそう)しない、本人の肉声が伝えられる」などの大きなメリットがあるという。専用アプリのダウンロードは3月1日から開始されたが、3月8日の時点で既に60万件のダウンロード数を計上したとのこと。なお、この災害用音声お届けサービスは、ドコモユーザーであれば3月31日まで体験サービスの利用ができる(4月以降は毎月1日、15日に同体験サービスの利用が可能)。

災害用音声お届けサービスの提供と、災害用伝言板の音声ガイダンス対応

国や地方自治体が、指定された地域住民に向けて災害情報を送信することのできる「エリアメール」機能は、2011年7月1日から利用料金が無料化された。これにより導入する自治体が飛躍的に増加し、その数は2012年2月の時点で888(うち東北は133)を数えているという。さらに2012年2月24日からは、気象庁が指定する66の沿岸地域に対して「津波警報」を送信することができるようになった。

エリアメールの更なる活用

そのほか、Google社の提供する「パーソンファインダー」やTwitter社と連携することで、安否情報の検索の幅を広げたり、災害関連情報の収集を簡易化したりする方策も進められている。また、首都圏に集中している施設を関西・九州地区に分散する取り組みも進行中で、こちらは2012年度末までに完了したいとのことだった。

パーソンファインダーとの連携によるICT活用と、災害対策の更なる推進

東北復興支援室長の眞藤氏

同社取締役常務執行役員 東北復興支援室長の眞藤務氏からは、東北復興支援への取り組みについて説明があった。ドコモでは、2011年12月1日に「東北復興新生支援室」を設置。被災地の雇用創出策として、2012年7月にスマートフォンの操作に熟知した職員を待機させるコールセンターを仙台につくり、150名規模の雇用を創出するという。また、ボランティア活動や募金・寄付活動なども積極的に行っていく。

東北復興への動きと東北復興新生支援室の取り組み

東北復興新生支援室では、地域コミュニティの支援として、日本全国に避難している世帯にフォトパネルを配布して、地元町役場の地域情報を配信するという取り組みも行っている。福島県双葉町では現在、2,600世帯が全国に避難しているが、そのうち希望した1,300世帯にフォトパネルを配布中。配布されたフォトパネルには、FOMAの3G回線を利用して双葉町役場からの情報が随時配信されるという。