4月からは、宮城県南三陸町でも同様の取り組みが開始される。フォトパネルということで、現在は役場からの情報を配信する目的で使われているが、将来的にはタブレット端末を用意して、町民と町役場双方向のやりとりができるようにしたい考えだという。
また、防災・復興教育として、小中学校にドコモの端末を配布する取り組みも行っている。大船渡市赤崎小学校や同市大船渡小学校の6年生のクラスでは今月上旬、ドコモのタブレット端末を使い、AR(拡張現実)機能を利用した授業が行われた。これは「震災復興に向けて、ARタグで牡蠣など地元の特産物を観光客に発信する」というもので、未来の街づくりを体験させるのが狙いだったという。「子どもたちに明るい未来を見せたい」という現場の願いから実現したものだ。
また、この授業の様子を動画で視聴した山形市立山寺中学校1年生の生徒は「応援したい」という思いから、ビデオレターを送ることを決めた。生徒が一人ひとり壇上に上がり、応援メッセージを送る模様はドコモのタブレット端末で撮影され、前述の小学校の生徒が見られるように動画サイトに投稿されたという。
このほか、エリアメールとエリアワンセグを連携させた検証実験も行われている。これは、特定の地域だけに災害情報を知らせることのできるエリアメールを映像(エリアワンセグ)と一緒に配信しようという試み。例えば「○○川が氾濫の恐れがある」といった場合に、川に設置されたライブカメラの映像をエリアメールと一緒に配信することで、地域住民により的確な判断をうながすことができるようになるという。眞藤氏は「文字列だけのエリアメールと比べると、提供する災害情報に幅と厚みが出る。危険な状況を、より効果的に伝達できるようになる」と話し、実用化に向けて期待感をにじませていた。
記者説明会の後、ドコモ東北支社ビル8階にある災害対策室が記者団に公開された。ここは震災当日に東北管内の災害対策本部が置かれた場所で、その後も台風や豪雨被害が出た際に使用したという。
隣の部屋では、東北管内にある基地局・電送路・交換機の故障などに対応するオペレーターたちが実際に作業している様子を見学することができた。異常が起こると中央のモニターに赤字で異常が表示される仕組みになっており、説明員によれば「震災当日はモニターが真っ赤になって大変だった」とのことだった。
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