3月11日、東北支社ビルの20階で本震の激しい揺れを体験したという荒木氏

NTTドコモは3月9日、東北支社(仙台)において「災害対策および復興支援の取り組み状況に関する記者説明会」を開催した。新組織として立ち上げられた「東北復興新生支援室」の取り組みなどについて説明が行われた。

説明会ではまず、同社執行役員 東北支社長の荒木裕二氏から先の震災における被害と現在の復旧状況について説明があった。東日本大震災では津波による基地局施設の破壊や電送路の断絶、電源の喪失などにより東北にある無線局1万1,000局のうち4,900局が通信不能に陥ったという(4月30日には99%を復旧させた)。この経験を踏まえ、ドコモでは新たな災害対策が策定された。

被災状況および復旧状況

東北支社のロビーには被災状況と復旧状況がわかるパネルが展示されていた

先の災害からたくさんの教訓を得たと話す山田社長

続いて、同社代表取締役社長の山田隆持氏からドコモの新たな災害対策について説明があった。新たな災害対策は「重要エリアにおける通信の確保」「被災エリアへの迅速な対応」「災害時におけるユーザーの利便性の向上」の3項目からなる。対策費には大ゾーン基地局の設置、基地局の無停電化などの施策のため合計で200億円の投資を行った。2012年2月末で全施策が概ね完了したという。

新たな災害対策には200億円の費用を投入した

大ゾーン基地局とは、半径約7kmをカバーできる無線基地局のこと。一般の基地局とは別に作られ、震災対応時にのみ使用される(平時には使用しない)。2012年2月末に全国104カ所への設置を完了しており、東北地区には仙台市、福島市など12都市へ設置された。通常、基地局のバッテリーは3、4時間しかもたないが、これについてもエンジンによる無停電化・バッテリーによる24時間化の施策を進めた。これにより、電源の喪失による通信の不通を防ぐことができるようになったという。