新iPadのRetinaディスプレイは彩度がiPad 2よりも44%向上し、テキストがシャープに表示される。そのままでも既存のアプリがアップグレードされたように描き出されるが、RetinaディスプレイとA5Xチップの性能を引き出すように設計されたアプリとの組み合わせでこそ本領を発揮する。
キーノートでは「Sky Gamblers: Air Supremacy」(Namco)、「SketchBook Ink」(Autodesk)、「Infinity Blade: Dungeons」(Epic Games)など、新iPad向けに開発が進められているアプリのデモが披露された。例えば、Sky Gamblersでは戦闘機のアフターバーナーのゆらめきや爆発、地上のビル群などがリアルに再現されており、ゲームデザインディレクタを務めるJames Shelton氏は「シングル、そしてマルチプレイヤーで、コンソール機クラスのゲーム体験を提供する」とアピールした。
続いて、iOS版のGarageBandとiMovieのアップグレードと、iOS版のiPhotoが発表された。iLifeファミリーの中でiPhotoだけiOS版がなかったことからもわかるように、高度な写真の編集・レタッチは、マシンの処理能力や表現力、精密な作業が求められるだけあって、モバイルデバイスでは難しいと見なされていた。ところがそれがタブレットとマルチタッチジェスチャーで可能であることを、iPadとiPhotoの組み合わせは証明している。指先の操作だけでスラスラと、冴えない写真を魅力的に仕上げるRandy Ubillos氏のiPhotoのデモは、まるで魔法のようで、同アプリに興味のある人はぜひともAppleが公開しているキーノート動画で確認して欲しい(iPhotoのデモは動画の1時間4分ぐらいから)。Macworldのライブブログを担当したDan Moren氏は、このデモを見て「私のすべての写真をレタッチしてもらうためにRandy Ubillosを雇えないか」と書き込んでいた。
最後にiPadのプロモーション動画を披露した後、Cooks氏がふたたび壇上に現れて「美しく、統合されていて、使いやすい。このようなイノベーションを提供できるのはAppleだけである」と語った。Android端末では、すでに1080pコンテンツや4G LTEの対応は実現している。しかしながらスペックに豊んだAndroid端末に対して、本体サイズの大きさやバッテリー駆動時間の短さなどに不満を漏らすユーザーは少なくない。それに対してCook氏のプレゼンテーションは、モバイルデバイスとしてのサイズとバッテリー駆動時間、処理能力の優れたバランス、コンテンツを消費するのが楽しくなる美しい表示、豊富なアプリ、クラウドサービスやコンテンツストアとの連携など、タブレットの利用体験においてiPadに勝るものはないという自信に満ちていた。そしてそれはiPadにとどまるものではない。同氏はキーノートの最後を「年間を通じて、より多くのこのようなイノベーションを目にすることでしょう。まだスタートを切ったばかりなのです」と、さらなるポストPC攻勢を匂わすような言葉で締めくくった。
アプリの画面を比較し、iPadと他のプラットフォームの利用体験の違いを強調。同じTwitterアプリでも、Android版はスマートフォン用を拡大したようなデザインだが、iPad版はタブレット向けに最適化されている、という |
キーノートを締めくくったのは、2012年にさらなるイノベーションを実現することを示唆する言葉。すでに発表されているOS X Mountain Lion、いずれ登場するであろう次世代iPhoneなどが楽しみだ |
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