Explorerと融合したSkyDrive
MicrosoftのオンラインストレージであるWindows Live SkyDrive(以下、SkyDrive)は、現在無償使用可能な同種のサービスと比較しても群を抜いた容量を誇っている。1ファイル100MBまでという制限はありつつも、25GBという容量は魅力的。これまでは、Windows Live Essentialsの各ソフトウェアと連動させるか、単独のWebアプリケーションとして使用するしかなかったのが現状である。
エクスプローラーからSkyDriveにアクセスするため、SDExplorerやGLADINETといったソフトウェアを使用する方も少なくないだろう。だが、Windows 8の公式ブログで発表された内容によると、Windows 8からはエクスプローラーに統合されるという。
具体的には、エクスプローラーのナビゲーションウィンドウに「SkyDrive」が加わり、オンラインストレージをローカルディスクのように使用できるというものだ。また、同期機能を備えることでオフライン環境でもSkyDrive上のファイルを使用可能にしている。本機能を有効にするには事前に5MB程度のソフトウェアをインストールし、そのとき作成されるフォルダー(%USERPROFILE%\SkyDrive\)との同期が行われる仕組みだ(図06~07)。
本機能はWindows 8だけでなく、Windows 7やVistaでも使用可能だが、海外の情報サイトによるとMac OS X用のクライアントも用意する予定だとか。いずれにせよ、Windows 8 Consumer Previewから有効になる機能だが、筆者の興味は1ファイルに対するサイズ制限の緩和だ。前述のとおり現在は100MBまでのファイルしかアップロードできないが、SkyDrive Wave 5からは最大2GBまで認められるという。
当初はデジタルカメラで撮影した画像やドキュメントファイル用ストレージとして設計されたため、50MB/ファイルという制限が設けられていたが、2011年中盤から100MB/ファイルに拡充。しかし、クラウドコンピューティングという古くも新しいコンピューターの活用方法が広まったことで、使用スタイルの多様化が今回のサイズ制限の緩和につながったのだろう。
その一方でMetroスタイルのSkyDriveアプリケーションは、同UIでSkyDrive上のファイルを操作するというものだ。Windows 8 Developer Previewに触れたことがある方なら、想像に難くないだろう。筆者はタッチインターフェースを備えるコンピューターでWindows 8を動かしていないため、その利便性を実感していない。だがスクリーンショットを見る限り、フォルダーをサムネイル表示することで直感的な管理が可能になりそうだ(図08~09)。
そしてもうひとつの機能が、SkyDrive.com経由のリモートファイル取得機能。対象となるのはオンラインストレージ上のファイルではなく、SkyDriveにログインしているコンピューター上のファイルをSkyDrive経由でダウンロードできるという。平たく述べれば、既存のコンピューターをSkyDriveというクラウドストレージに組み込むというものだ。
もちろんハッキングされないように、SMS(ショートメッセージサービス)や電子メールで送られてきたコードを用いることで、外出先でのコンピューターを認証済みコンピューターとさせるのだろう。この際、二つ認証方式を組み合わせるツーファクタ認証を用いると公式ブログの記事では説明されている(図10~11)。
このようにWindows 8を境に同OSとSkyDriveの統合性はますます高まり、既存のオンラインストレージサービスを"過去の存在"にしかねないほど充実した機能が用意される。また、コンピューター初心者はオンラインストレージという存在を意識せず、SkyDriveを単なる拡張機能として使う可能性もあるだろう。現在の1,700万ユーザーが使用し、10PB(ペタバイト)のデータを保存しているSkyDriveという存在は、今後ますます脚光を浴びるだろう。
阿久津良和(Cactus)