今年頭にRadeon HD 7970のレビューをさせて頂いたが、その後9日には秋葉原での発売も無事に開始された。まぁ瞬殺だったのは仕方ない事であろうし、その後も品薄が続いているのも(これまでのハイエンド製品の発売当初の供給状態を考えれば)それほど不思議ではない。

さてそのRadeon HD 7970の下位モデルにあたるRadeon HD 7950の用意が出来たようで、やっと筆者の手元にも評価機が回ってきた。実を言うと評価機材の数そのものがあまり無い様で、あまり時間をかけて評価することが不可能であった。そんなわけで、本当にファーストインプレッションに近いレビューをお届けしたい。

違いはわずか

Photo01が、AMDから示されたRadeon HD 7950の構成である。大きな違いとしては、Stream Processorの数が2048→1792に減じられているのが判る。Radeon HD 7970の場合、32のCompute Unitを持ち、この各々のCompute Unitが64のStream Processorを持つという計算になっており、逆算するとRadeon HD 7950はCompute Unitが28になったという形だ。ただ総トランジスタ数は43.1億個で変わっていないので、ダイそのものはRadeon HD 7970と一緒で、Compute Unitを4つ無効化したものと考えられる。同時にコアクロックを925MHz→800MHz、メモリクロックを1.375GHz→1.25GHzに引き下げたことで、ピーク性能はRadeon HD 7970の3.79TFLOPSから2.87TFLOPSと25%ほど落とされた形になる。ただその分消費電力も最大250Wから最大200Wまで引き下げられた。

Photo01: 今回AMDから提供された資料はこの1ページのみ。他はRadeon HD 7970と同じ、ということかもしれないが。ちなみに資料には明記されていないが、帯域を考えるとメモリバス幅はRadeon HD 7970と同じく384bit構成と思われる。

この構成はGPU-Zでも確認できた。今回GPU-Z 0.5.8がリリースされた(Photo02)のだが、日本語Windowsの環境だと表示がおかしくなるので、前バージョンの0.5.7での結果(Photo03)も同時に示す。Catalyst Control Centerでのハードウェア(Photo04)、ソフトウェア(Photo05)の結果も、ほぼ同様である。

Photo02・03: もっとも表示内容そのものは0.5.7も0.5.88も同じ。Radeon HD 7970の際の結果と比較していただくと、ほぼPhoto01のスペック通りになっているのが判る。その他の話でいえば、一応Device IDを変えてきた(Radeon HD 7970が6798、Radeon HD 7950が679A)のが面白い。となると、間に挟まった6799というDevice IDはどの製品向けなのだろう?

Photo04: 今回はZ68プラットフォームなので、PCI Expressは2.0どまりである。

Photo05: Catalyst Versionは11.12だが、ATIのサイトから公式にダウンロードできるもののドライバーパッケージのバージョンは8.92-111109aである。今回はRadeon HD 7950と一緒に提供されたスペシャル版(Pre Catalyst 12.1版?)を利用した。

外見はさらに見分けがつかない。このアングル(Photo06)から見るかぎり完全に一緒で、こちら(Photo07)から見ると補助電源が6pin×2な事で辛うじて見分けがつくといったところ。バックパネルのコネクタ配置も一緒(Photo08)で、しいて言えば裏面(Photo09)の印刷が異なっている程度か。基板単体の長さが265mm、カバーを含んだ長さが278mm(どちらも実測値)というのもRadeon HD 7970と同一で、もう基板や外装カバーなどは完全に共通だった。重量は実測で1006gと、Radeon HD 7970よりも6gほど軽かったが、これはひょっとすると補助電源コネクタが6pin+8pin→6pin+6pinになったことによる差かもしれない。逆に言えばヒートシンクなどは(相変わらず分解厳禁のお達しが届いたので確認はしていないが)完全に共通であろうと思われる。

Photo06: Radeon HD 7970とまったく同一。

Photo07: Radeon HD 7970とファンの形状や大きさなども同一。違いは電源コネクタピンのみ。

Photo08: 当然同じパーツを使っているためであろう。ここで見分けは不可能。

Photo09: シールを貼る位置がRadeon HD 7970と異なっている程度。電源ピンの配線そのものはこちらも8pin×2が来ており、基板そのものが共通であると考えてよさそう。

ベンチマーク環境

では早速性能確認を。今回は、Radeon HD 7970の時の環境をそのまま使い、グラフィックスカードのみRadeon HD 7950として、結果も以前のRadeon HD 7970の時の結果に追記する形で〆させていただく。表1がテスト環境で、Radeon HD 7950以外は全く一緒である。結果の表記は、

GeForce GTX 580 : GeForce GTX 580リファレンス
Radeon HD 6970 : EAH6970 DCII/2DI4S/2GD5
Radeon HD 7950 : Radeon HD 7950リファレンス
Radeon HD 7970 : Radeon HD 7970リファレンス

となる。また今回テストは3DMark Vantage/3DMark11/消費電力の3つのみとさせていただいた。

■表1
CPU Intel Core i7-2600K
M/B ASUSTeK P8Z68-V PRO
BIOS BIOS Version 0902
Driver Intel INF Driver 9.2.0.1022
Memory DDR3-1600 CL9 4GB×2
Graphics NVIDIA GeForce GTX 580 1.5GB Reference ASUSTeK EAH6970 DCII/2DI4S/2GD5
(RADEON HD 6970 2GB)
AMD RADEON HD 7950 Reference AMD RADEON HD 7970 Reference
Driver GeForce 285.62 Driver Catalyst 11.12 AMD_ Radeon_ HD7900_ Win7_ 64_ Jan19 AMD_ Radeon_ HD7900_ Win7_64_Dec20
HDD HGST Deskstar HDP725050GLA360 500GB×2 (RAID0, NTFS)
Intel Rapid Storage Technology Driver V10.6.0.1002
OS Windows 7 Ultimate 64bit+Service Pack 1 日本語版
.NET CLR 2.0.50727
Java 1.6.0_27 / Runtime 20.2-b06