コンテンツ決済手段をベースにして提供されるサービスがauスマートパスだ。複数のサービスが含まれており、1つ目が月額390円で500本以上のアプリが利用可能になる。ATOKやモバイルパワフルプロ野球、大辞林、ジーニアス英和・和英辞典など、さまざまな有料アプリも、月額料金で利用可能だ。
同社の高橋誠専務によると、Androidユーザーの65%がアプリをダウンロードしていないという。探しているアプリが見つからない、アプリの価格が高い、使い方がよく分からないといった声があり、これに対して月額390円ですべて使い放題になるのがアプリ取り放題だ。
スマートフォンのセキュリティ問題に対する声に対しても、アプリ取り放題では、セキュリティチェックを行った上でKDDIのサーバーから配信して、安全性を確保しているという。セキュリティチェックでは、取得するアプリの権限に対して、個人情報を取得する場合は同意を取得しようとするかなどをチェックしており、アップデートで権限を追加する場合も、KDDIのチェックを経由するため、安全性は向上するとしている。
海外のアプリも配信する計画で、田中社長自ら米国のアプリベンダーに交渉してきたといい、Dolphin BrowserやBumpといったアプリがKDDIのサーバーから配信されるという。このため、取り放題で利用できるアプリと、通常のAndroid Marketから配信されるアプリでバージョンが異なる場合もあるとのこと。
なお、アプリ取り放題で配信されるアプリは、ダウンロード数に基づいてアプリベンダー側に収益が分配される。それに加え、ユーザーのアプリ起動回数をKDDIが取得し、その回数をもとにベンダー側の収益が増加する仕組みを導入するという。起動回数というプライベート情報を収集するため、利用時にはユーザー側に同意を求めているが、起動回数の提供を拒否してもアプリの利用はできるとしている。
このほかスマートパスでは、容量10GBのストレージサービス「au Cloud」を新設。さらに、「Photo Album」アプリを提供する。au Cloud上の画像をアルバムとして簡単に作成し、別のPhoto Albumユーザーと共有できる。au CloudのAPIも公開する予定で、スマートフォンのカメラアプリの保存先としてau Cloudが選択できるようになる見込みだ。
さらに、スマートパスユーザー限定を含むクーポンを配信。クーポンを使えば、月額390円を「あっという間に回収できる」(高橋専務)という。さらにウイルスバスターによるセキュリティ機能、コールセンターによるサポートも月額390円で提供する。
スマートパスは、当初はAndroidスマートフォン向けだが、PCやタブレットなど、別のプラットフォームへも拡張していく考え。他プラットフォームで利用する場合については、追加料金なしで利用できるようになるという。
ただ、アプリ取り放題で利用するアプリは、スマートパスを解約すると、自動的にアンインストールされる仕組みで、継続して支払い続けなければならない。Android Marketのアプリは通常買い切りのため、利用しているアプリによっては、高額になってしまう可能性がある。また、Android Marketであればキャリアをまたがってアプリを利用できるが、アプリ取り放題ではauのスマートフォンでしかアプリは使えない。
さらに、アプリをKDDIのサーバーから配信する仕組みは、iOS向けに適用できるかどうかはアップルの対応次第だという。こうした点について問われた田中社長は、「すべてのプラットフォームで使えるようにしたいという意志がある。アップルに対しては一部制限があると見ているが、これからHTML5ベースに変わっていくと思うので、そちらに踏み出していきたい」とコメントしている。
KDDIでは、来期にはAndroidユーザーの80%程度がスマートパスに加入すると見ている。今後は、音楽配信のLISMO Unlimitedのようなサブスクリプションサービスを動画などにも拡大し、そのうちの一部をスマートパス向けに提供することで、音楽や動画の取り放題サービスへ誘導していきたい考えだ。