「ESET Smart Security V5.0の新機能」
新バージョンでは、いくつかの新機能が追加された。それらを簡単に紹介しよう。まずは、ESET Live Gridである。これは、ESETやユーザーから送られた情報をもとに、マルウェアの挙動パターンや、クリーンファイルと悪意のあるファイルの判定方法などをスマートに解析する。これまでは、マルウェアであれば定義データベースかヒューリスティックエンジンのモジュールに反映していたので、わずかではあるがタイムラグが発生した。それに対し、ESET Live Gridでは、PCで実行されているプロセスがリアルタイムで不審かどうかを判別する。
次に、ホスト侵入防止システム(HIPS)である。これは、レジストリ、プロセス、アプリケーション、ファイルに対し、変更の可否をルールとして設定するものである。具体例をお見せしよう。[設定]→[コンピュータ]を選ぶ。
ここでHIPSの[設定]を選ぶ。詳細設定となるので、[ルールの設定]を選ぶ。
HIPSルール管理で[新規作成]を選び、ルールの編集を行う。
ルールの名前やターゲットを選択する。ファイルの場合には、対象となるファイルを、フォルダ・ファイル単位で選択する。ここでは、Program Filesフォルダのすべてのファイルに対し、変更・削除があった場合に確認メッセージを表示するようにした。[OK]で保存すると、HIPSルール管理にルールが追加される。
実際に、変更を行おうとすると、図19のようなメッセージが表示される。
子供などにWebアクセスルールを設定するペアレンタルコントロールも追加された。図20は、コンテンツ内容でのフィルタリングの設定である。
さらに、URLのよるホワイト・ブラックリストも作成できる。
一般的な機能であるが、子供を守るためにも適切に利用したい。最後に、ゲームモードである。ゲーム中に、ポップアップやスケジュールタスクを抑制するものだ。図15で設定を行う。有効にすると、タスクバーのアイコンが黄色に変化し、右クリックすると、ゲームモード中であることが表示される。
軽快さも大きな魅力
さて、冒頭でも触れたようにESETは、軽快さとヒューリスティック機能で定評がある。その軽快さについては、オーストラリアのベンチマークを専業としたPassMark社が発表した「Consumer Internet Security Products Performance Benchmarks(Oct 2011)」に根拠をみることができる。
他のセキュリティ対策ソフトとブート時間、平均スキャン時間など14項目を10点満点で評価したものだ。見ての通り、もっとも優秀な結果となった。軽快さを示す、1つの側面にはなりうるだろう。ヒューリスティック機能も、軽快さへと繋がる。近年、1.5秒に1つの割合で新種のウイルスが発生する。従来の定義ベースの防御では、定義ファイルが肥大化していく。当然のことながら、更新における通信負荷、メモリ消費量も増大する。高いヒューリスティック機能により、最小限の定義ファイルで済ませられる。これが、軽快さに寄与するのである。
さて、新機能を中心にESETの機能を見てきた。近年、注意力だけでウイルスなどの脅威を防ぐことは難しい。一方、負荷の高いセキュリティ対策ソフトは安全かもしれないが、日常の使用に不便さを強いることになる。この点、ESETは強力なヒューリスティック機能と、軽快さが大きな魅力となりうる。1カ月の体験版もあるので、軽いセキュリティ対策ソフトを求めているならば、試してみてもよいであろう。