将来のTegraはGPUなど、特定用途向けコアの強化へ
今後のTegraについては、まず現状の1.3-1.4GHzだけでなく、スマートフォン向けに1.2GHz版のほか、より上位の1.6GHz版など、クロック周波数の変更でバリエーションを増やしていく方向を採ることが、CESでの各社の展示から判明している。「スマートフォンにクァッドコアプロセッサは必要なのか?」というよくある疑問に対し、Wuebbling氏はクァッドコア自体は省電力性の面でペナルティにならないこと、必要なときに十分なパフォーマンスを提供できる点を挙げ、「Tegra 3のデュアルコア版」といったバリエーションを用意する計画はないとしている。現状のTegra 3ではTSMCの40nm製造プロセスを利用しているとみられ、今後QualcommやTIといったライバル各社から提供されるクァッドコア製品が28nmを採用していくことを考えると、この差が不利になる可能性も考えられる。だが同氏は「40nmでダイサイズが大きくなること自体はコスト面からも大きな不利にはならない。むしろクァッドコア+GPU向けの最適化や5つめの"Ninja"コアのアピールが重要になるだろう」とコメントし、Tegra 3ならではのメリットを打ち出すのが重要とのスタンスだ。
Tegra 3にはパフォーマンス要求に応じて複数のコンフィグレーションがあることが確認されている。例えばASUS Eee Pad Transformer PrimeではTegra 3の動作クロックは1.3-1.4GHzとなっているが、先ほどの富士通のスマートフォンでは1.2GHz、さらにこの写真にあるLenovoのIdeaTabでは「1.6GHz」のスペックも確認できる |
また現状のTegra 3 (開発コード名: Kal-El)に続き、第4世代の「Wayne」、第5世代の「Logan」、第6世代の「Stark」がロードマップで示されている。Wuebbling氏によれば「Wayneは当初のロードマップどおり」でリリース計画が推移しており、おそらく今年末から来年初頭にかけて市場投入が発表されるとみられる。Wayneの詳細については明らかにされていないが、「Dedicated Cores (特定用途向けコア)」の強化が中心になるという。具体的にはGPUコアを増やしてGPU処理能力を引き上げるほか、専用デコーダなど用途別演算装置の搭載など、より個々の用途に最適化された演算ユニットを次々と搭載/強化していく方向性を採るという。もちろん、CPU自体の処理性能もブラッシュアップで引き上げることになるが、それ以上にCPU以外の部分の機能強化が目立つことになるだろうというのが同氏の説明だ。これら目的別コアでトランジスタを適度に割り振り、プロセッサ全体のバランスを保つのがTegraの基本方針だといえる。なお、GPUでのCUDAサポートについては「現時点でのサポートは明言しないが、将来的には絶対に必要になる」とのことで、いずれか近い世代でCUDAプログラミングがTegraでもサポートされるだろう。