"静かなる革命"、OCEANUS Manta「OCW-S2000」
ビジネス、カジュアルを問わず、幅広いステージでその存在感をいかんなく発揮する、カシオのソーラー電波ウオッチ「OCEANUS(オシアナス)」シリーズ。そのフラッグシップ「Manta(マンタ)」に、待望の最新モデル「OCW-S2000」が登場した。深海に差す光をイメージさせるディープ・ブルーのインナーベゼル。真円とシャープなエッジが絶妙なコンビネーションを見せる、ケース外縁からブレスへのラインなど、見つめているだけでため息が出る美しさだ。
しかしOCW-S2000は、ただデザインがアップデートされただけの新しいMantaではない。電子式リューズスイッチを搭載した「スマートアクセス」をMantaで初めて採用、またカシオ初のサマータイム自動切り替え機能を搭載するなど、外見・中身ともにOCEANUSが次のステージへと進化したことを感じさせる、"静かなる革命"ともいえるモデルなのだ。
高級ラインであるOCEANUSの最高峰にふさわしいディテールと仕上がりをもつ最新のManta、OCW-S2000 |
OCW-S2000には、マット調文字板の「OCW-S2000-1AJF」(右)と、白蝶貝の文字板の「OCW-S2000PW-7AJF」(左)の2モデルが用意されている |
ちなみに、OCEANUSシリーズですでにスマートアクセスを搭載している「OCW-T1000」シリーズのボディ厚は12mm。一方、OCW-S2000は10.9mmと1.1mmも差がある。試しに、お手持ちの腕時計に定規を当ててみればお分かりいただけると思うが、腕時計において1mm近い差はかなり大きい。ボディの薄さを大きなコンセプトのひとつに掲げるMantaに、よくもスマートアクセスの機構が組み込めたものだなぁ、などと考えていたある日、編集部から電話があった。
「新しいMantaの秘密を(こっそり)教えてくれるらしいんですが、インタビューに行きませんか ?」
もちろん二つ返事で引き受けて、行ってきました。カシオの羽村技術センターへ。そこで今回は、そのインタビュー内容を(こっそり)ご紹介したい。お話を伺ったのは、カシオ計算機株式会社 時計事業部モジュール開発部 モジュール企画室の岡本哲史氏。かなり深いところまで突っ込んで聞いてしまったので、原稿が●●●だらけにならなきゃいいが…と、今からちょっと心配(笑)。しかしそのぶん、非常に興味深く"濃い"お話を伺うことができたぞ。
写真に撮っても風防ガラスがフラッシュ光を反射しない不思議
― 外観のお話から聞かせてください。まず目に入るのは、やはり青の美しさですよね。
岡本「最初にマルチバンド5(世界各地の標準電波受信機能)を搭載したモデル(OCW-M700)以来、OCEANUSのイメージカラーは青。中でもMantaのイメージは"都会の夜の海"で、より深みを帯びた大人の時計と位置付けています。」
― 「海=ocean」で、OCEANUSのネーミングの由来でもありますね。
岡本「そうです。ですから、デザイナーもこの青にただならぬこだわりを持っています。OCW-S2000のインナーベゼルはIP(イオンプレーティング)被膜でコーティングしているのですが、IPで出せる色はある程度決まっていて、青を出すのは技術的に難しいらしんですよ。かなり試行錯誤を繰り返しながら、この青を出したと聞いています。」
― マットブラックの文字板との対比がまたいいですね。夜の海へダイブするような落ち着いた雰囲気で…。ところで、この文字板も非常に視認性が高くて、斜めから見ても映り込みが少なく、クッキリと見えるんですが。
岡本「それは、風防ガラスの両面無反射コーティングの効果ですね。OCW-S2000は風防の質感と硬度を高めるためにサファイアガラスを使用しているのですが、サファイアガラスは反射率が高く、キラキラと光るんです。光るということは、光を反射してしまって通さないということですよね。でも、OCW-S2000の心臓部分はタフソーラー(太陽電池)なので、文字板下の受光部まで光を通してくれないと困る。そこで、風防ガラスの表裏にコート剤を塗布することで、できるだけ反射を抑え、高い質感と硬度、視認性、動力源の確保を同時に実現しています。」
― 実は、記事用の撮影をしていたカメラマンが驚いていたんですよ。この時計はフラッシュの光を反射しないから、すごく撮りやすい、って。
岡本「思わぬところにコーティングの効果が出ましたね(笑)。片面ではなく両面にコーティングしていますから、より一層光を透過してくれるんです。」
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