カシオ計算機が提案する「スマート&エレガンス」をコンセプトとした、女性用メタルウオッチ"SHEEN(シーン)"。今年11月、その新製品として、ソーラー電波モデルの「SHW-1500/1501」がリリースされました。洗練された大人の女性を連想させる華奢なデザインが印象的なこのシリーズ、内部には同社ならではの最先端の技術が凝縮されています。

インタビュー後編となる
【 「進化」する女性向けソーラー電波ウオッチ"SHEEN"の魅力に迫る!(その2) 】
も合わせてご覧ください。

SHEENのイメージキャラクターは中島美嘉さん

きらめく時計の内側に秘められた誕生秘話に迫るべく、SHEENの開発に携わってきた、カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部 モジュール企画室の小島直氏にお話をうかがいました。

女性が心地よく身に付けられる腕時計

カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部 モジュール企画室 小島直氏

― 素敵な時計ですね。ちょっと触ってみてもいいですか?

小島「どうぞどうぞ。ぜひ腕につけてみてください。かなりコンパクトに感じられると思います。従来はモジュールが直径約25mmあったのですが、今回は18mmのムーブメントを開発し、それを採用しています。女性が腕につけて心地よいサイズを追究した結果、やはり小型化が必須ということになりまして……そこから我々の挑戦がはじまりました。」

― 確かに、従来型よりもずいぶんサイズが違いますね。実際にどの部分が変わったのですか?

小島「部品の1つ1つをすべて開発し直しました。たとえばアンテナ。電波時計ですので、もちろん電波を受信するためのアンテナが必要になるのですが、サイズをこのまま小さくすると、そのぶん感度が悪くなってしまうのです。そこで、小さくても従来製品と同等の感度を備えたものを試行錯誤して開発しました。」

― すべての部品を! 気が遠くなりそうです……。アンテナ以外で特に大きく変わっているところはありますか?

ピンクがかわいい「SHW-1500SG-4AJF」

幅広いスタイルに合う「SHW-1500D-1AJF」

シックな「SHW-1501BD-1AJF」は世界6局の標準電波に対応

小島「電波を受けるために、内部はプログラムで制御しているのですが、そのアルゴリズムを新しく開発しています。また、小型化するうえで、電池のサイズも9mm台から6mm台へと変わったのですが、そうすると電池の容量は半減してしまいます。なので、小さい電池でも従来と変わらない駆動時間を保つことができるよう、省電力で動かせる新しいモーターと心臓部分のLSIも開発し直しました。

こうして、アルゴリズムとLSIを新しくすることで、「Multi Band 6」のように、世界6局(日本2局、中国、欧州2局、北米地域)における、電波受信が可能になったのです。このように、機能を向上させつつどう小型化するか……。また、極力スペースを取らないように各部品をどう立体的に配置していくか、ということを常に模索していました。そして、カシオの得意とする高密度実装技術で実現をしました。」

写真のモデルは「SHW-1500SG-4AJF」。上の基板が従来モデル、下の基板が新モデル

左が従来モデルのモジュール、中央が新モデルのモジュール、右は新モデルのムーブメント

― ソーラー(太陽光)でパワーをまかなえるんですよね?

小島「はい、使った分の電力は太陽や蛍光灯の光で充電してまかなえるようにしています。文字板の下にあるソーラーパネルで光を受けているので、文字板の色が濃くなればなるほど光を通しにくくなります。しかしデザイン面からすると、やはり鮮やかでハッキリした色の文字版にしたい……。そこで使う電力が少なくなるよう、先程の省電力化が必要になってきます。そのあんばいが難しいのです。こうした、デザイナーからの要望と技術的な問題との板ばさみが常でした(笑)。」

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