新搭載シュレッダー機能

新機能として注目したいのがシュレッダー機能である。エクスプローラーによるファイル削除は、前述のように完全に削除されるわけではないため、離席中に誰かが削除したファイルの復元を試みる可能性は拭(ぬぐ)いきれない。しかし、離席のたびに空きクラスターだけを削除するのは面倒な作業である。その点シュレッダー機能は、ファイルやフォルダーが使用するセクター(クラスタの構成単位)を検索し、削除と同時に選択した方式で抹消することが可能だ(図09~12)。

図09 完全抹消したいファイルやフォルダーをウィンドウにドラッグ&ドロップする

図10 確認をうながすメッセージが表示されるので、<はい>ボタンをクリックする

図11 これでファイル情報だけでなく、データ領域に対する抹消処理も行われる

図12 抹消方式は右クリックすると現れるメニューから選択可能。また、ログから過去の操作を確認することもできる

注意しなければならないのは、抹消対象となるのが現在のファイル・フォルダーに限られる点。前述のようにデータはクラスタチェインによって各クラスタに保存されているため、ファイルを更新時や同名のファイルで上書きした場合、別のクラスタが使用されることになる。

そのため、見かけ上はファイルやデータが抹消されていても、データ領域にファイルの内容が残ってしまう可能性があるのだ。また、同機能は暗号化が施されたファイルやほかのソフトウェアが使用しているファイル、リバースポイントなどNTFSの特別な機能を使用したファイルを抹消できないので、合わせて注意して欲しい。

新バージョンにおける、そのほかの改良点として紹介したいのが、起動用USBメモリー/FD(フロッピーディスク)作成ツールだ。CD/DVD-ROMを備えていないコンピューターに接続中のストレージに対して抹消操作を行う際に有用である。また、CD/DVD-ROMもなく、USBデバイス経由の起動をサポートしていない古いコンピューターを対象にする場合は、抹消用FDを作成することで対処できる(図13~14)。

図13 USBメモリから「HD革命/Eraser Ver.3」を起動可能にするツールも用意されている

図14 古いコンピューターを対象にする場合は、抹消用FDを作成するとよい

また、最近使用者が増えつつあるGPT(GUIDパーティションテーブル)ディスクをサポートし、BIOSやWindows OS上で正しく認識している2TB以上のHDDも抹消することが可能になった。HDDの価格は高騰しつつも4TBクラスが登場した状況をふまえると、本機能の新搭載は歓迎すべきである。

確かにディスク抹消ツールは常に必要となるソフトウェアではない。だが、前述のように個人情報や重要データが漏えいすると、取り返しが付かないどころか金銭的な問題が発生する可能性も高い。それだけに同種のソフトウェアは常に用意し、事が起こる前に使用する習慣を身につけつつ"粘り強く"対処すべきなのだ。このようなセキュリティ意識を持つ方に「HD革命/Eraser Ver.3」は有用な一本となるだろう。

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