機能強化でさらに使い勝手もバージョンアップ
次は機能面に着目する。バックアップを定期的に実行するには、スケジュール機能を使うのが一般的だが、「Acronis True Image Home 2012 Plus」では、前バージョン同様に5分ごとにバックアップを実行する「ノンストップバックアップ」を機能強化した。強化された点としては、復元用のタイムエクスプローラ画面をよりわかり易く改良、かつ保存先にNASを指定することが可能となった。さらに、パーティション単位だけでなく、ファイルやフォルダをバックアップ対象にできるようになった。
「ノンストップバックアップ」は任意のフォルダー(初期状態ではユーザーフォルダー)やパーティションを追加することで、何らかのトラブルが発生しても素早く書き戻せるという機能である。一見するとバックアップ領域の消費が気になるところだが、古いバックアップデータは、ユーザーが定義したクリーンアップルールに従って自動的に削除されるため安心だ。
また、システム全体への負担という点においては、64ビット環境にもサポートしているため、想像以上に動作が緩慢になることはない。Windows 7の登場で64ビット版を選択するユーザーが増えているだけに、システム負荷もより安全性を優先したいユーザーには便利な機能となるだろう(図06~07)。
興味深いのはオンラインバックアップの統合。以前のバージョンでは、日本国内では未提供だった同機能が完全統合され、メニューから簡単に呼び出せるようになった。オンラインストレージのサブスクリプションを購入することで得られる容量は250GB。月額480円、年額では4,800円で提供している。現時点でオンライン ストレージにバックアップできるのはデータのみだが、バックアップしたデータはウェブインターフェイスから復元できるため、Acronis True Image Home 2012 Plusをインストールしていない環境でもデータの取り出しができる点は利便性が高い。
なお、バックアップ用データがオンラインストレージ容量をひっ迫しないようにするため、古いデータを削除するルールを設定することもできる。バックアップ時の負担を軽減するため、処理優先度の調整やネットワーク速度の制限なども設定可能。そもそもバックアップデータの冗長化は安全性を高める上で欠かせない作業だ。
「Acronis True Image Home 2012 Plus」は、オンラインバックアップの統合により、ローカルディスクとオンラインストレージというバックアップの冗長化を実現したのである(図08~09)。
もう一つの注目新機能がデータの同期である。LAN内やインターネット経由で指定したフォルダーを同期する機能で、前述のオンラインストレージを用いることも可能だ。例えば各コンピューターでドキュメントフォルダーの同期を行えば、会社と自宅のコンピューターで同じ作業ファイルを共有したり、友人とデータを共有し合うこともできる。
また、ローカルディスクにため込んだ写真や動画をNAS上のフォルダーと共有することで、家族間のデータ共有も可能。このように様々な場面に役立つ新機能が「Acronis True Image Home 2012 Plus」に加わったのである(図10~11)。
このほかにも出力されるログ内容が詳細化され、ファイル単位のバックアップでは新たに「電子書籍」というカテゴリーが設けられるなど改善点は多い。また、安全性の確認できていないソフトウェアやウェブサイトの試験実行や閲覧などに最適な「Try&Decide」も健在である(図12)。
バージョンを重ねたことで積み上げた信頼性と利便性を向上させた「Acronis True Image Home 2012 Plus」は、バックアップ環境を整えたい個人やSOHOユーザーには有力な候補に数えられるだろう。従来と同じく30日無償使用可能な体験版が配布されており、気になる方は是非試して欲しい。次回から「Acronis True Image Home 2012 Plus」を使ったバックアップ/復元の具体的な操作方法を解説する。