バックアップデータを用いて仮想環境を実現
「ShadowProtect4 Personal」が備える特徴のひとつが、異なるハードウェアや仮想環境へバックアップイメージを復元するHIRだ。通常、Windows OSはセットアップ時にハードウェア構成を検出し、適切なデバイスドライバーを組み込むことで、そのOS環境を実現している。つまり、ハードウェア構成が異なるコンピューターにバックアップデータを復元するのは基本的に不可能なのだ。
そこで事前にハードウェア構成を含むストレージを検査し、必要なデバイスドライバーをピックアップ。そして、バックアップイメージを復元する際に取得した情報を用いて復元操作を行うというものだ。もちろん対象は実存するコンピューターだけでなく、仮想環境も含まれる。つまり、仮想環境周辺で用いられるP2P(物理環境から物理環境)やP2V(物理環境から仮想環境)スタイルの復元が可能になるのである。
このHIRにより「ShadowProtect4 Personal」は、コンピューターを買い換えやシステム用HDDの換装時などに多用されていた引越しソフトと呼ばれるジャンルの機能も備えることになる(図08~10)。
バックアップイメージは単なるファイルとして扱えるため、ローカルディスクとしてマウントし、個別のファイルやフォルダーを取り出すことも可能。事実上のファイル/フォルダー復元機能としても活用できるだろう(図11~12)。
だが、バックアップイメージファイルのベストな利用方法はVirtualBoot機能である。同機能はバックアップイメージデータを仮想環境ソフトウェアの仮想ストレージとして使用することで、バックアップデータに含まれる古いアプリケーションを使用したい場合や、ソフトウェアの検証用に用いることができるというものだ。
「ShadowProtect4 Personal」では、個人や非商業範囲で無償使用可能な仮想環境ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」をサポートし、前述したHIR機能を用いたデバイスドライバーの登録や仮想ストレージへの変換処理が自動的に行われる。完了後もそのままOracle VM VirtualBoxが起動し、変換した仮想ストレージを元にOSが起動するはずだが、筆者の環境ではどうしてもエラーが発生してしまう。
色々と調べてみると、Oracle VM VirtualBoxのバージョンが決められており、筆者が最初にインストールしたのは執筆時点で最新版となるバージョン4.1.6。しかし、ShadowProtect4 Personal(今回試用したバージョンは4.1.5.10094)がサポートしているのは、Oracle VM VirtualBox 4.0.2だそうだ。最新版をアンインストールし、古いバージョンのOracle VM VirtualBoxを導入すると無事起動した。
ソフトウェア内のリンクからダウンロードするOracle VM VirtualBoxのバージョンも4.0.4で、筆者の環境では前述のエラーが発生。「ShadowProtect4 Personal」を使用する際は、インストール先のフォルダーにあるReadmeファイルの確認をお勧めする。
なお、バックアップイメージファイルをWindows Virtual PCなどで使用するVHD形式や、VMware Playerなどで使用するVMDK形式にも変換することもできるため、異なる仮想環境ソフトウェアを使用しているユーザーも部分的ながら恩恵を受けられるだろう(図13~15)。
このほかにも「ShadowProtect4 Personal」にスケジュール機能や世代管理や差分・増分によるバックアップ方式など、バックアップツールとして必要な機能は皆備えている。重要データがある日突然なくなってしまう、コンピューターが起動せずにデータを引き出せないこともある。このようなトラブルの対処に欠かせないバックアップツールは、コストではなく品質で選択するべきだろう。
阿久津良和(Cactus)