Windows OS稼働時も非稼働時もバックアップが可能

バックアップツールの性能は、ユーザーが用いる環境によって大きく左右され、一方では問題がなくても、その一方ではトラブルが発生する可能性は拭(ぬぐ)いきれない。それだけにエンタープライズからコンシューマーレベルまで、数多くの場面で蓄積した経験を反映された共通製品が望ましい。今回取り上げる「ShadowProtect4 Personal」は、米StorageCraft Technology(ストレージクラフト・テクノロジー)社が手がけているコンシューマー向けバックアップツールである。元々同社は企業向けバックアップツールに強く、海外でも定番バックアップツールの選択肢として数えられるメーカーだ。

バックアップソリューションを構築する「ShadowProtect 4 Server」や仮想環境を前提とした「同Virtual」などをリリースしているが、同社のコンシューマー向けバックアップツールとなるのが「ShadowProtect4 Personal」である。イメージ形式でHDDのデータを作成するタイプだが、独自のスナップショット技術を用いることで高速処理を実現し、異なるコンピューターや仮想環境への復元機能(HIR:Hardware Independent Restore)などを備えている。まずは主たるバックアップ機能から検証していこう。

「ShadowProtect4 Personal」には、Windows OSが稼働中にバックアップを作成するホットイメージバックアップと、シャットダウンした状態からWindows RE(Recovery Environment)環境を起動してバックアップを作成するコールドイメージバックアップの2種類がある。

前者はMicrosoftのVolSnap(ボリュームシャドウコピードライバー)とVSS(Volume Shadow Copy Service:ボリュームシャドウコピーサービス)を用いるか、製品独自のスナップショットドライバーを用いることでバックアップを実行している。そもそもVSSはストレージ上にあるファイルとフォルダーなどを記録するスナップショットという技術だ。

コンシューマー向けOSではWindows Vistaから標準搭載されるようになり、同OSでも世代別バックアップなどに用いられるが、「ShadowProtect4 Personal」では、同機能を備えたOSではMicrosoftのVSSを使用し、標準搭載していない環境では、独自のスナップショットドライバーを使用しているようだ。OSの再起動は修正プログラムを適用する場面に限られるようなユーザー向けの機能である(図01~02)。

図01 「ShadowProtect4 Personal」セットアップ時には独自のドライバーが導入される

図02 スナップショットを作成するためのプロバイダーもサービスとして稼働する

バックアップウィザードの途中で参照できる詳細オプションでは、イメージファイルの作成に関する各種設定が可能だが、なかでも興味深いのはイメージファイル作成時に使用するI/O帯域を調整する「パフォーマンススロットリング」というオプション。初期状態では100%となっているが、バックアップ実行時もフォアグラウンドアプリケーションのパフォーマンスダウンを避けたい場合はスケジュール作成時に調整しておくといいだろう(図03~04)。

図03 仮想環境上で10GB程度消費した仮想ストレージのバックアップを作成してみた。所要時間は7分程度と比較的高速だ

図04 バックアップに関する設定を行う詳細オプション。帯域調整以外にも書き込みキャッシュの有無なども選択できる

もう一方のコールドイメージバックアップは、製品CD-ROMからWindows REを起動し、その上で「ShadowProtect4 Personal」も基本的な操作は一緒。バックアップや復元操作はもちろん、詳しくは後述するHIRの設定なども可能だ。完全な状態でバックアップを作成する場合は、本機能も併用することをお勧めしたい(図05~07)。

図05 製品CD-ROMから起動すると、実行環境の選択をうながされる。詳しく検証していないが、異なるWindowsのバージョンが実行されるようだ

図06 Windows RE環境での動作も基本的はWindows OS上のものと同じ。ただし、バックアップに関する詳細オプションは制限される

図07 こちらは図05の画面でWindows 2003ベースのWindows REを起動したもの。懐かしい言語ツールバーも表示されている