NOTTVはアナログテレビ放送終了にともなって利用者のいなくなった、170~222MHz帯をのうち、14.5MHz幅を使ったISDB-Tmm方式の「モバキャス」放送を使ったサービスとなる。放送波を使うことで、不特定多数に対してリアルタイムに一斉配信が行えるのがメリットで、インターネットを使った通信に比べて、大容量の一斉同報ができるため、通信が集中して通信速度が落ちるなどの問題が起きないという。NOTTVでは、こうした放送の特徴に加え、通信のインタラクティブ性やソーシャルメディアとの連携機能などを追加することで、「これまでにない、放送と通信の融合したサービス」(NTTドコモ・山田隆持社長)を目指すとしている。
筆頭株主であるドコモの山田社長は、NOTTV普及に向けて「3つの支援をしていく」とコメント。これは、「モバキャス対応端末の普及」「ドコモショップでの販売促進」「資金面での援助」という3つの施策で、対応端末に関しては、4月のサービス開始時にスマートフォン1機種、タブレット端末1機種を提供。5~9月の間にさらにスマートフォン3機種、タブレット2機種を追加する。この時点で、同期に発表するラインナップの1/3から半数でモバキャスに対応する。山田社長は「まだ検討中」と前置きしつつ、冬モデルではさらに10機種ぐらいの対応端末を用意し、この時点でラインナップの半数から2/3でモバキャスに対応していきたい考えだ。
ドコモショップでは、実際にNOTTVを体験してもらうなどして販売を促進。資金援助では、今回の増資でも6割を引き受けて支援を行う。ドコモでは「モバイルを核とする総合サービス企業」(山田社長)への転換を目指しており、NOTTVは「その一翼を担う大きな事業」(同)へと育てていきたい考え。放送波によるコンテンツ配信により、急増する携帯通信のデータトラフィックをオフロードする役割も期待しているという。このほか、災害時にもデータ通信、ワンセグに加えてNOTTVからも情報を得られることで、安心安全の面でも訴求していく意向だ。
モバキャスでは、割り当てられた周波数帯の半分がほかの事業者の放送用に残されており、これについて二木社長は「(事業者の)関心は高い」と指摘。ただ、「様子見が多い」(同)ことから、NOTTVが魅力あるコンテンツとサービスを提供してユーザーから支持されることで、続く事業者が出てくることを期待する。
NOTTVのサービスエリアは、当初東京スカイツリーからの放送波で関東をカバーし、世帯カバー率はサービス開始時で60%。1年後には全国に基地局を設置していって76%を目指す。3年後には世帯カバー率が90%を超える計画だ。
二木社長は、NOTTVが「今までのテレビにできなかったことができるモバイルスマートテレビ」であることを強調。「テレビにできないことをする、テレビを超えたテレビになる」をキャッチフレーズに、積極的にサービスを展開する方針。初年度には100万契約、対応端末300万台の販売を目指し、最終的には1,000万契約まで拡大したい考えだ。山田社長は、4~5年の長いスパンで事業を成功させることを狙い、ISDB-Tmm方式の放送の海外展開も検討していきたとしている。
事業のスタートを目指して今回、mmbiでは基地局整備やコンテンツ制作などの事業運営資金の調達、財務基盤の強化を目的に総額481億円の第三者割当増資を実施。ドコモら株主に新規発行株式を割り当てる形で、既存10社の株主のうち6社に割り当てるほか、新たに端末メーカー、放送局など新規11社の株主にも割り当て、「オールジャパンの体勢が出来上がった」と二木社長はアピールしている。