香港で開催されたモバイル関連の展示会「Mobile Asia Congress 2011」では、講演や商談スペースのほか、企業のブースも用意されていた。いくつか興味を引いた展示があったので紹介しよう。
世界初のLTEローミングのデモンストレーション
主催者である業界団体のGSMAのブースには、「世界で初めて」というLTEを使ったローミングサービスが紹介されていた。LTEサービスを提供する香港CSLと豪Telstraの2社がコンセプトの形でデモンストレーションを行っていた。Telstraの端末を使ってCSLのLTE回線でローミングし、豪シドニーのオフィスとのWebカメラシステムを構築していた。
ブースに設置されていたデモ。左のPCは豪Telstraの端末を使ってCSLのLTE回線でHD動画を再生しているところ、右は3G。3Gだと映像が止まってしまうが、ローミングでもLTEなら快適に再生できていた。これに加え、Webカメラを使ったデモンストレーションも行われていた |
LTEは、国際標準の通信方式であり、各国でサービスが始まっている。香港CSLは2010年11月に、豪Telstraは11年9月にそれぞれ商用サービスを開始。国内ではNTTドコモが10年12月から「Xi」(クロッシィ)の名称でサービスをスタートさせている。高速・大容量・低遅延といった特徴に加え、国際ローミングも想定されており、GSMAではすでにローミングに向けたリファレンスの作成もすませているが、現時点ではまだローミングは実際に始まってはいない。
CSLはTelstraの傘下にあるため、今回共同で世界初という商用ネットワークを使った国際ローミングのデモンストレーションを紹介。LBO(Local Break Out)、GRX(Global Roaming Exchange)といったシステムを使ってパケットをルーティングし、Telstraの端末でもCSLネットワークでLTEを利用できるようにしていた。
LTEの高速・低遅延のネットワークを活用したWebカメラを用意し、豪州側に設置したカメラは香港側で操作し、現地の人とWebカメラ経由で会話を行うといったデモンストレーションが行われていた。ブースのCSLの説明員によれば、来年早々にもLTEのローミングをスタートさせる計画で、すでにLTEサービスを開始している日本や韓国などともローミングを実現させていきたいとのこと。
SNSでつながるスマートホーム
GSMAのブースではこのほか、スマートホームのデモンストレーションも行われていた。これは、Ericssonによるサービスで、家庭内にある機器をネットワーク化し、それをWeb経由で管理するというもの。面白いのが、管理するためのインタフェースをFacebookのようなSNS風の構造にしたという点だ。
家庭内の照明や冷蔵庫、自動車、バッグなど、あらゆる物のアカウントを作成し、それを自分のフレンドとして登録。登録したアカウントは、自動で機能に即したつぶやきのようなものを投稿しており、例えば照明が「ライトをつけたまま出かけています。家に誰もいませんが、電気を消しますか? 」といったつぶやきが投稿される。それに対して「はい、消します」「いいえ、消しません」という選択肢が表示され、いずれかを選択することで、リモートで「照明を消す」ことができる。さらに、この操作に自宅に設置したWebカメラが反応して、自宅内の照明を消した状況をWebカメラで確認することができる。