――現在、すでに公式サイトでは、『紋』のPVが配信されていますが、今回PVを作ったのは『紋』だけですか?

喜多村「ちゃんとしたPVは『紋』だけですが、『雪華』も、前回の『彩-sai-』と同じような"なんちゃってPV"を作っています(笑)。今回のジャケットは、『雪華』をイメージした白い衣装なのですが、ジャケット内では使用されなかったカットを利用して、スクリーンセーバーみたいな感じのPVを作りましょうって、撮影のときからずっと提案していたんですよ。公式サイトのほうでもすでに公開されていると思います」

――PVを録るのは好きですか?

喜多村「私は、写真もPVも得意ではありません(笑)。見るのは大好きなんですけどね。やっぱり、自分の写真や映像って恥ずかしいんですよ。声優の仕事として、キャラクターや世界観にどこまでも潜っていくのは好きなんですけど、自分に潜り込むのはちょっと変な気持ちがして……。恥ずかしさよりも不安のほうが大きいかもしれません。『これであっているのかな?』とか、『こんな私が受け入れられるのかな?』って。そういったことをすごく気にしてしまうタイプなので、いつもドキドキしてしまうんです」

――そして反省会が始まるわけですね

喜多村「家に帰ったら即反省会ですね(笑)。ジャケット写真を選ぶときも、私の意見は後からなんですよ。とにかく、まずは『男子ウケ』『女子ウケ』『両方ウケ』に写真を選別してくださいといった感じで、先にスタッフの方に選んでもらっています」

――ちなみに今回のジャケット写真は男性ウケですか? 女性ウケですか?

喜多村「今回は『雪華』のほうが男性ウケで、『紋』のほうが女性ウケを狙った? 写真になっています。『紋』の写真は着物を着ているのですが、どちらかというと、男性よりも女性の方に共感していただける写真にしたかったんですよ。異性ではなく、同性の方に、『いいね』とか、『私も真似してみたい』とか思っていただきたいなって。男子は儚い女の子が好きだと思うし、女子は強い女性のほうが好きだと思うので、両方のいいとこ取りをしたいなという気持ちで、『雪華』と『紋』は対になってもらいました」

――3曲目に収録されている「Be A Diamond」では、喜多村さんが作詞をなさっています

喜多村「略すと『BAD』になっちゃうんですが(笑)。作詞は趣味なんですよ。そんなに一杯しているわけではないんですけど、写真を撮られるよりは好きですね」

――文字で表現するほうが恥ずかしくないですか?

喜多村「文系なので(笑)。学生時代から、自分で1行とか3行とかぐらいのフレーズを書いて、それに似合うイラストを描き加えるのが好きだったんですよ。作詞の場合は、決められた小節の中で、起承転結をつけたりしないといけないので、すごく難しいのですが、作業自体はとても好きなので。スタッフの皆さんが、喜多村の好きなことやできることを、少しでもやれる機会があったら尊重してくださるので、今回もそれに甘えて(笑)、歌詞を書かせていただきました」

――『Be A Diamond』は、当初から喜多村さんが歌詞を書く前提で作られた曲なのですか?

喜多村「実はこの曲、『Be Starters!』のデモの段階からあった曲で、そういう意味では、何かのテーマ曲になってもおかしくない曲だったんです。ただ、『Be Starters!』の制作時は結果としてご縁がない形となったんですが、とても印象に残る曲だったので、今後の機会のために残しておいていただいたんです。この曲を初めて聴いたとき、何か自分のテーマソングみたいだなって思ったんですよ。普段自分がよく使っている言葉が、ガッツリとはまっていくメロディラインだなって。それで運命を感じました。実際に作詞を行ったときも、ちょっと瞑想するだけで、ポンポン言葉がはまっていったので、本当に1時間ぐらいで出来上がりました」

――これまでに作り溜めてきた詞の集合体というわけではないのですか?

喜多村「それとは違いますね。詞を作るときは、何らかのジャンルを決めて、その世界観の中で言葉を積み上げていくんですけど、今回は、素の喜多村英梨、本当に何も考えない、ゼロからの喜多村英梨という人間のテーマソングにしたかったので、あらためて自分がよく使っている言葉を書き出していったら、そのままキレイにはまって、ストーリーとして繋がっていった感じですね」

――そんな中でも、ここだけはこだわったところはありますか?

喜多村「やはり自分が作詞をするということで、『作詞:喜多村英梨』という表記だけではなく、何か少しでも自分のアイデンティティを残したかったんですよ。なので、実際に私がメールを打ったり、文章を書いたりするときと同じ三点リーダーの使い方とか、音符の入れ方、スペースの空け方にしています。歌詞カードを見ていただけるとわかるのですが、たとえば『反省→追求→努力』みたいに、あえてスペースではなく矢印を使ったりもしています。『合言葉』ではなく『愛言葉』になっているところもそうですが、『Be A Diamond』は歌詞の表記にもこだわらせていただいてます」

――それでは最後に、発売を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします

喜多村「今回も喜多村節炸裂の1枚に仕上がりました! 『紋』のPVも、ストーリー物といいますか、お芝居物みたいになっていて、リップシンク以外の喜多村の表情なども豊富に収録させていただいています。まさに、聴いて良し、観て良しという大満足の1枚になっておりますので、このCDを手にとっていただく皆様が、喜多村の新しい引き出しに魅力を感じていただければいいなと思っております。観て、聴いて、そして歌ってください。よろしくお願いいたします」

――ありがとうございました



「紋」(通常盤)のジャケットイメージ

11月9日にリリースされる「紋」は、初回限定盤と通常盤の2ラインナップで、初回限定盤には「紋」のPVを収録したDVDが同梱される。価格は、初回限定盤が1,943円で、通常盤が1,300円。

タイトル
収録曲 01. 紋 (しるし)
02. 雪華 (はな)
03. Be A Diamond
喜多村英梨
発売予定日 2011年11月9日 品番 KICM-91367 (初回限定盤)
KICM-1367 (通常盤)
価格 1,943円 (初回限定盤)
1,300円 (通常盤)
発売元 キングレコード