もし、英語学習で挫折したら……

そうはいっても、英語学習にチャレンジして、途中で挫折した経験をお持ちの方も少なくないはず。あるいは、教材で良い点数がとれても、実際うまく使えないといった悩みもあるかもしれません。

「壁にぶつかった時には、原点に返って自分がなぜ英語を学んでいるのか、そして自分が何を感じて壁だと思ったのかを明らかにすることが大切」と平野さんは言います。

「例えば、TOEICの点数が目標に到達しないことが壁であれば、もう一度基礎の文法を学習してみる。会議中に言いたいことが英語で伝えられなかったことを壁と感じたなら、それは専門用語を知らなかったからなのか、ヒアリング能力が足りないからなのかを分析してみましょう。自分に欠けている部分が分かれば、そこを集中的に補いながら学習することで、壁を乗り越えられるはずです!」

ちなみに、アルクの英語学習コミュニティ・サイト「アルコムワールド」では、受講者がスムーズに学習を進めるための相談や質問を受け付けています。同じ悩みや疑問を受講者同士が共有することもできるので、挫折しそうになったらアクセスしてみましょう。解決のヒントが見つかるかもしれません。

アルクの英語学習コミュニティ・サイト「アルコムワールド」

また、

「万人に共通の乗り越え方はありません。その人なりの方法を探し出すことが大切でしょう」と平野さんからアドバイス。

一方、嵯峨さんも、

「全般に言えることですが、スムーズに右肩上がりで英語力がアップするということは、まずありません。例えば、TOIECのスコア一つをとっても、短いスパンで見ると上がったり、下がったりします。でも、ちゃんと勉強を続けているのであれば、年間を通して見ると右肩上がりで実力がついていることが多いと思います。長い目で自分をみていきましょう」と言います。

語学を学ぶには、あまり神経質にならず、とにかくこつこつ毎日続けていくことがコツです。1日、2日サボったからと落ち込まず、スランプに陥っている時や、調子の悪い時はあまり無理をしない方が肝心かも。千里の道も一歩から! 半年、一年と自分なりに長いスパンを設定し継続していくのが重要そうですよね。

ビジネス英語をしゃべる上で重要なのは読み? 書き? それとも……

最後に、英語を学習する上で何が必要か、あらためてまとめていただきました。

「今後はビジネス現場のあらゆる層において、英語の基礎力+発信力+グローバルマインド、つまり広義のコミュニケーション能力が注目されていきます。それを身につけた人間は強いですよ」と嵯峨さんは言います。

グローバルマインドを身につけるコツは、

「日本人にとってあたりまえのことを、相手に上手に補足できることがポイント」と平野さん。

「例えば、席に着こうとしている来客に、上座を勧める場合、上座の意味が分からない外国人は、自分から遠い席を勧めることを不思議に思ってしまいます。そこで『日本には、上座、下座という習慣があり、お客さまには上座を勧めることが礼儀』と伝えることで、相手との距離をグッと近づけることができます。この辺りは、語学力というよりは気配りですね」

素晴らしい商品や企画を持っていても、それを上手に発信できずに持ち腐れになることはせっかくのビジネスチャンスを逃すことになってしまいます。グローバル化があたりまえになってきている今、英語を身につけることは、ビジネスパーソンにとって必須課題といえるでしょう。

ただし、無理せずじっくりと。目標を掲げ、文化的背景なども楽しみながら英語をマスターしていきましょう!

●お話を聞いた方

嵯峨克美(さがかつみ)

株式会社アルク取締役。10以上の英語通信講座を企画制作。大学受験参考書、大学クラス用教材なども手がけている。個人的には、英語、フランス語、スペイン語にも挑戦し、語学スクール、個別授業、通信講座などの挫折経験も豊富。

平野琢也(ひらのたくや)

株式会社アルク・新規事業開発部室長兼グローバル英語推進室長。これまで、様々な教材開発を手掛ける一方、英語スピーキング能力の評価試験TSSTの開発・運営、英語スピーキング能力育成プログラムの開発とその担当講師の育成に関わりつつ、多くの企業の人材研修の場に立ち会ってきた。