フランコが演じるのは、アルツハイマー病に悩む父親のために新薬の実験を行い、人間の存在を脅かす賢い類人猿たちを生み出してしまう主人公の科学者ウィル。
フランコ「僕はウィルがものすごく悪いことをしたとは思わない。科学者は探求を続けるべきだと思う。ただし、それは倫理や安全性の確保が前提条件。効果のあるものを見つけたとしても、それを人にどう供給していくのか。すべての過程において、"これは道徳上、問題がないか?"、"これは誰かに害を与えるだろうか?"と問いかけながら、進めることが大切。高度に発達した科学は僕らに未来の可能性を見せ、導いてくれるけど、科学の進歩は人間が制御出来る範囲内に収まらねば意味がない。過去の『猿の惑星』シリーズでは、人種や階級格差、そして文化の衝突といった当時のアメリカ社会への風刺が含まれていた。本作では、もっと大きな"人類への警鐘"がメインテーマ。本作は娯楽作品として成立しながら、戒めの物語にもなっている点が素晴らしいと思う」
物語に説得力を与えているのは本物そっくりに動き、感情をあらわにする類人猿たち。映画『アバタ―』、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどでアカデミー賞視覚効果賞を獲得したハリウッド最高峰のVFX工房 WETAデジタル社が手掛けている。
フランコ「『猿の惑星』では、当時の特殊メイクの可能性を追求した。その意味では僕らも同じ。最先端のモーション・キャプチャー技術を用いて、類人猿たちを映像化したんだからね。でも『猿の惑星』シリーズに登場する類人猿たちを観た人々が、"実際もあんなに凶暴なんだ"と誤解しないことを願うよ。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』で、彼らは抑圧に耐え切れず反乱を起こしたけど、同じ状況下に置かれた人々はたくさんいる。注目して欲しいのはそこ。この映画は人間が違う国、人、グループ、文化や動物に対してどう接していくべきかも考えさせてくれるんだ」
『猿の惑星』の公開から40年以上も経った今、このコンセプトが多くの人々に受け入れられた理由は、映像のリアルさだけではない。その答えは、娯楽作に隠された真のメッセージにある。単なるSFではない、時代に即したテーマを持つ映画であるからこそ、私たちの心に力強く訴えかけてくるのだ。
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』は、10月7日よりTOHOシネマズ日劇ほかで全国公開。
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