伊能忠敬が日本沿岸を測定し、地図を作成した資料が「伊能忠敬記念館」に置いてある。これらの目録などWebサイトによると、地図・絵図787点、文書・記録類589点、書状類398点、典籍類528点、器具類63点と2000点を超える。国宝に指定されているものもあるそうだが、器具類の目録には象限儀、半円方位盤、携帯用磁石など膨大な資料目録からは、精巧な地図の測定にどれだけ苦労したかを感じることができるだろう。
地図の重要性は、Web上の地図サービスをはじめ、この数年間に実に身近なものへと変化した。スマートフォンで簡単に目的の場所へと辿り着くことができる。Webの使い勝手を向上させた代表的なサービスの一つに数えられることは言うまでもない。伊能忠敬が地図を測定した目的は、実用的なものであるにせよ、資料館には彼が測定の折に松尾芭蕉や藤原定家、西行などの歌人の歌を書き留めていることにも触れている。精度の高い地図を計測する傍ら、その合間に先人の歌に思いを馳せていたこともうかがえる。
この伊能忠敬と似た趣を持つのがローカル型地図ソフトだと筆者は思う。これらローカル型地図ソフトも当然、オンラインサービスとの連携が図られている。だが、地図を手元に置いておく点、それをオリジナルなものへと個人でカスタマイズしていく点において、"場所を探がす"という利用を中心に考えたオンライン地図とは趣が異なる。
以前に比べPCハードウェアのスペックが格段に上がっている。ローカル型地図ソフトの特徴として地図データをハードディスクに保存するという点がある。これが低スペックなPCでは、従来なかなか敷居の高いものであったのだが、最近のPCではこれらを軽快に扱える。ネットワークに繋がなくても精細な地図を常に呼び出せるということが利点になる場合もある。登山や旅行、仕事や趣味、生活と自分が作り込んだ地図は、常にハードディスクとともにある。
今回は地図ソフト「プロアトラスSV7」を見てみることにしよう。Webサイトからは体験版もダウンロードできる。同ソフトのラインナップは幅広いが、地図データ更新パック付きのものがオススメだ。地図を本格的に扱う場合、やはり最新のデータのものが良い。地図を扱うサービスの更新頻度はまちまちだが、地図データ更新パックでは、年間を通じて最新の地図に更新することが可能だ。また、「1年間地図データ更新パック付」モデルでは2台までインストールすることができる。ノートPCとメインPCの2台にいれておけば、オンラインサービスとの連携などによりさらなる活用も可能だ。Webサイトから「プロアトラスSV7」をダウンロードし、手順に沿ってインストール。スタートメニューから起動すると地図画面が広がる。