Windowsの標準ファイルシステムとして利用される「NTFS」。その内容にOS Xから直接アクセスしようとすると、ファイルシステムドライバが必要となるが、OS X Lionに用意されているドライバは読み込み専用だ。今回、LionでNTFS領域の読み書きを可能にするパラゴンソフトウェアの製品「Paragon NTFS for Mac OS X 9」を試用する機会に恵まれたので、その機能とパフォーマンスについて報告したい。
複数のOSが共存する環境では、どうしても「ファイルシステム」という壁を考慮せざるを得ない。OS Xは「HFS Plus」、Windowsは「NTFS」、Linuxは「ext3」など、OSそれぞれに代表的なもののほか、exFATにFAT32、ext4やRaiserFSなど、出くわす可能性が高いものをくわえると、相当数のファイルシステムが存在する。
LANの普及により、それらファイルシステムの違いはファイルサーバにより吸収することが可能になったが、直接ディスクをマウントすべき場面も少なくない。HD品質のビデオや大量のRAW写真、バックアップしたディスクボリュームなど、ローカルにマウントして作業したほうが効率はいい。
そのような背景からか、OS XではLeopard(v10.5)のときからNTFSがサポートされている。ただし、"基本的には"リードオンリーであり、Windowsで書き込んだものをOS Xに持ち込む用途専用だ。これでじゅうぶんならばなにも問題なし、OS標準の機能で足りてしまうが、変更を加えればデータの書き戻しが発生する。NTFSがリードオンリーでは困る、ライタブルでなければーーという声が聞こえてくるのもこの辺りのニーズが強いためだ。
実は、一つ前のSnow LeopardのときはOS標準の機能でNTFSに書き込みできた。初期設定ではリードオンリーだが、/etc/fstabにわずかな変更を加えるとライタブルにすることができたのだ(参考)。正式にNTFSサポートがうたわれなかった原因は不明だが、ときおりシステム全体が不安定になるなどの不具合があったことは確か。
そしてLionでは、カーネルモジュールを入れ替えるなどのハックを行わないかぎり、NTFSをライタブルにできなくなってしまった。読めるが書けない、それがOS XにおけるNTFSの現状だ。
前置きが長くなったが、OS X用NTFSドライバー「Paragon NTFS for Mac OS X」が注目される理由はそこにある。以降のページでは、基本機能と最新バージョンで追加された新機能、標準装備のNTFSドライバーとのパフォーマンス比較を行ってみよう。